研究実績の概要 |
本年度は、キャベツ類(B. oleracea, CCゲノム) と‘聖護院ダイコン’由来の根こぶ病抵抗性をもつ B. napus系統(CR-B. napus, AACCゲノム)との交雑組合せにおいて胚救済による雑種 F1植物の作出を試みとともに、培養経由の育成個体における根こぶ病抵抗性検定方法を検討した。その結果、25の組合せ1,024個の子房から72個体の雑種 F1植物を作出した。二倍体および四倍体 B. oleracea を花粉親に用いた組合せにおける後代の作出率は、二倍体で約4.6%を、四倍体では約3.6%を示した。培養経由後代に対して「病液10ml・2回接種40日検定」および「病土・病液10ml接種40日検定」を行った結果で、13個体がDI=2-1のやや抵抗性を、22個体がDI=2-2のほぼ罹病性を、16個体がDI=3の完全罹病性を示した。さらに、培土移植30日後には、2個体がDI=2-1、14個体がDI=2-2、40個体がDI=3と判断された。「病液10ml・2回接種70日検定」を行った結果では、6個体がDI=2-2、10個体がDI=3を示し、順化40日後で観察した時よりもDI=3の割合が増加した。また、二基三倍体および二基四倍体の雑種 F1植物について根こぶ病抵抗性を比較したところ、二基三倍体では31個体中2個体がDI=2-1、9個体がDI=2-2、その他の個体はDI=3を示し、二基四倍体では28個体中8個体がDI=2-2、他の個体はDI=3を示した。一方、上記3通りの新規接種法において比較系統であるキャベツ類は全てDI=3を示した。今後、やや抵抗性を示した雑種後代を用いキャベツ類の抵抗性系統を作出する際には、RsCR1とAゲノムやCゲノムのもつ既存の抵抗性遺伝子との最適な組合わせをデザインすることが求められる。
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