研究課題/領域番号 |
22K05633
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
中村 郁子 横浜市立大学, 木原生物学研究所, 客員研究員 (40585858)
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研究分担者 |
黒倉 健 宇都宮大学, 農学部, 講師 (10650898)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | イチゴ / 成熟 |
研究実績の概要 |
二倍体イチゴは植物ホルモンの1種であるオーキシンうち、ナフチル酢酸(NAA) を開花前のめしべに1回処理することにより果実の発達が受粉非依存的に開始される。その後、2週間程度を過ぎると成熟を開始する果実は処理果実全体の34%であり、その他の果実は成熟前に発達を停止する。しかし、2週間頃にオーキシンあるいは別のホルモンであるジベレリンを処理することによりほぼ100%の果実が成熟に至る。そこでオーキシンによる誘導後2週間目の果実に追加でオーキシンあるいはジベレリンで処理し、3日目および7日目の遺伝子発現をRNA-seq解析により網羅的に解析した。これらの処理で共通に誘導される11の遺伝子を成熟関連遺伝子候補として選抜した。これらの遺伝子のコード領域全長をクローニングし、アグロバクテリウムを介して一過的に受粉後10日および15日目頃の二倍体イチゴの果実へ導入し、果実の発達について観察を行った。その結果、果実の発達が遅れるものと促進されるものが見られたが、試験したすべての果実で完全に一致した傾向の見られた遺伝子は見つからなかった。そこで、スクリーニングの条件を再検討した。オーキシンによる誘導後2週間目の果実にオーキシンあるいはジベレリンを処理し、3、5、7、9、11、13日目の果実の形態および着色と成熟の指標となるFvRIF1遺伝子および着色関連のFvMYB10遺伝子の発現を調べることにより、成熟のステージを4段階に分けた。サンプリングは種子に相当する痩果と可食部である花托に分けて行い、それぞれのステージに相当する日のサンプルの痩果と花托でRNA-seq解析を行った。次年度はこの結果を解析予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の解析結果から得られた解析候補遺伝子を解析した結果が芳しくなかったため、再度スクリーニングに戻ったことから遅れが出ている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の解析方法はオーキシンおよびジベレリンによる成熟の誘導後の日数でサンプルの成熟度を分けていたことと、成熟速度の異なる痩果と花托が混ざった状態のサンプルを用いていたために、得られた候補遺伝子の数も少なく、選抜の精度も低かったと考えられる。今年度行った、より細分化したサンプルを用いたRNA-seqの解析結果は当初の解析結果よりも正確に候補遺伝子を抽出できることが期待される。候補遺伝子選抜後の方針に変更はない。
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