研究課題/領域番号 |
22K05643
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研究機関 | 独立行政法人国立科学博物館 |
研究代表者 |
水野 貴行 独立行政法人国立科学博物館, 植物研究部, 研究員 (80758772)
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研究分担者 |
立澤 文見 岩手大学, 農学部, 教授 (30320576)
DEVKOTA HARI 熊本大学, 大学教育統括管理運営機構, 特任助教 (90750042)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 花色育種 / アントシアニン |
研究実績の概要 |
多彩な花色を持ち花壇苗として人気の高いプリムラの花色素を用いて、交配後に生じる花の色をインビトロで予測する技術を開発する。近年、魅力的な翡翠色の花の発色機構が青色花と淡黄色花の交配によって生じることが示唆され、園芸花きにおいても翡翠色の花が育成できる可能性が示された。申請者らは、これまでの研究から、プリムラには青色花と淡黄色花があり、交配による翡翠色花育成の条件が揃っていると考えた。本研究では、複数のプリムラ園芸品種群およびシノ-ヒマラヤ地域の野生プリムラの花色素データを網羅的に収集・体系化するとともに、青色花と淡黄色花の各色素成分をインビトロ条件で混ぜ合わせ、翡翠色を発色する組み合わせを特定する。これにより、花色素の混合による“交配シミュレーション”を活用した、新たな品種を戦略的に育種する技術を開発する。一年目は、より多くの種や園芸品種を収集、栽培するとともに、開花した種や品種を用いて、カラムクロマトグラフィーやゲルクロマトグラフィー、分取HPLCなどによる分離・精製、質量分析、TLC、加水分解、NMRなどによる構造決定を行った。野生種については、筑波実験植物園内において淡黄色系花色を持つ複数の種の花が開花し、その発色に関わるフラボノールの成分比較および構造決定を行い、新規と推定される化合物を複数同定した。園芸品種についても、マラコイデス系およびオブコニカ系の複数品種の栽培および花色分析を進めている。また、ネパールにおける原産地調査のための手続きやカウンターパートとの連絡・調整を進めており、次年度の調査の手筈を整えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究材料のサンプリングが順調に進んでおり、今後の研究の展望が見えてきている。
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今後の研究の推進方策 |
二年目は引き続き、植物園ネットワークを活用し、原種の収集・栽培を拡大するとともに、多様な種や園芸品種を用いて色素プロファイルを得ていく。また、未知化合物を対象に、カラムクロマトグラフィーやゲルクロマトグラフィー、分取HPLCなどによる分離・精製、質量分析、TLC、加水分解、NMRなどによる構造決定を行う。また、計画通り、ネパールの自生地調査を行い、多様な花色を持つプリムラの花を入手し、研究で供試できるように手続きを整える。また、既に得られたプリムラ野生種および園芸品種のデータをもとに、学会での発表を計画するとともに、論文化を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度計画している海外調査およびその準備に当初想定よりも多くの費用が掛かる可能性が出てきたため。
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