研究課題/領域番号 |
22K05661
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研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
高梨 琢磨 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (60399376)
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研究分担者 |
蔭山 健介 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (30272280)
衣浦 晴生 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (00353665)
田村 繁明 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 研究員 (80813857)
中村 克典 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (40343785)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 害虫防除 / カミキリムシ / 振動 |
研究実績の概要 |
昆虫は基質を伝わる振動を感知して様々な行動反応をおこすことから、振動を用いた行動制御による害虫防除が可能となる。本研究では、カミキリムシ類(クビアカツヤカミキリ等)を対象に、振動を用いて1)害虫の検知、及び 2)害虫の行動制御の両方をおこなう防除システムを構築する。害虫防除への応用として、1)と 2)の併用による、樹木内の幼虫を検知後に行動制御をおこし、その効果を幼虫のモニタリングから検証する振動防除システムの開発を目指す。 本年度は、振動を用いて1)幼虫の検知、及び 2)成虫の行動制御に関する野外試験をおこなった。1)エレクトレット振動センサを用いて、サクラ樹体内に穿孔する幼虫由来の振動を3ケ月間測定した。幼虫の振動は咀嚼や運動等の行動により発生すると推測される。磁歪式振動発生装置より樹体内の幼虫に振動を与えたところ、幼虫が発する振動の持続性に変化が見られた。次に、2)振動発生装置を装着したサクラの樹幹に網を設置し、その網内に成虫を複数頭に放した。そして、そして、断続的な振動に対する成虫の驚愕反応(体の一部を瞬時に動かす)やフリーズ反応(歩行等の停止)の頻度を数時間観察した。振動を与えないサクラ樹を対照区として網内で同様の行動観察を行った。試験区間の比較から、振動による成虫の行動制御の効果を示した。以上、1),2)の結果は、振動を用いてクビアカツヤカミキリ幼虫の検知、及び成虫の行動制御の両方をおこなう防除システムの構築につながる知見となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
クビアカツヤカミキリの振動防除システムを構築するために、振動センサにより幼虫の活動を検知することができた。また、振動発生装置を用いて、振動による成虫の行動制御効果を示し、当年度の計画を達成し、来年度以降の計画につながる成果を得た。
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今後の研究の推進方策 |
室内で人工的に幼虫を接種したサクラ丸太を用いて、クビアカツヤカミキリ幼虫の様々な振動を取得、解析し、この振動から行動の継続的なモニタリングをおこなう。また、幼虫に対する振動の影響を実験室内で示し、クビアカツヤカミキリの振動防除システムを構築につながる知見を得る。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度に購入予定していた振動発生装置(60万円)を次年度の購入に変更したため。なお当初予定していた計画に変更はない。
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