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2022 年度 実施状況報告書

ハチ目昆虫の半数体オスにおける減数分裂を回避した精子形成の分子機構解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K05684
研究機関国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構

研究代表者

畠山 正統  国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 上級研究員 (50281142)

研究分担者 横井 翔  国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 主任研究員 (40773073)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード精子形成 / 減数分裂 / ハチ目昆虫 / トランスクリプトーム解析 / RNAi / 半数ー倍数体 / RNA-Seq
研究実績の概要

ハチ目昆虫は通常、受精卵からは二倍体のメス、未受精卵からは半数体のオスを生じる。これらの半数体オスは、半数体の(正常な)精子をつくるために精子形成過程で減数分裂を行わない。本研究では、精子形成における減数分裂の制御が、オスで改変されている分子機構の解明をめざす。そこで、トランスクリプトーム解析により、精巣特異的、ハチ目昆虫特異的に発現する遺伝子を選抜して機能解析を行い、遺伝子間相互作用のネットワークデータなどを活用して、遺伝子制御ネットワークを解析することを目的としている。
今年度は、カブラハバチの精母細胞が減数分裂期にはいる初期蛹の精巣から抽出した全RNAと、同時期の卵巣から抽出した全RNAを用いてRNA-Seq を行い、トランスクリプトーム情報を得た。アノテーションにより機能予測した遺伝子を比較して精巣特異的に発現している19の転写産物を特定した。それらのうちの2つについてはハチ目昆虫に特異的で機能未知であった。このうち発現量の多い、566アミノ酸をコードする1706塩基からなる転写産物に着目し、RNAi による機能解析を行なった。5'末端付近に対応する二本鎖RNAを作成し、減数分裂期前の終齢幼虫体腔内に注入したところ、蛹初期の精巣での発現量が低下し、発現が阻害された。羽化後1日目の成虫では通常、正常な減数分裂の進行により成熟精子が貯精嚢に移動して精巣は萎縮しているが、RNAi により発現阻害した個体では、精巣は見かけ上萎縮しておらず、貯精嚢内に成熟精子はほとんど見られなかった。これらの結果からこの転写産物は、精巣内での減数分裂の進行、あるいは精子成熟に重要な役割を果たしているものと推測された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画で予定していた、比較発現解析による候補転写産物の抽出、選抜、特定を行い、RNAi によってその発現を阻害して機能解析を実施した。

今後の研究の推進方策

今後、さらに候補となる転写産物を取得するために、減数分裂期およびその前後の複数の時期の精巣から得たRNAと、同時期の卵巣から得たRNAを用いて RNA-Seq を行い、トランスクリプトームのアノテーション、比較発現解析を進め、候補転写産物をさらに取得し、RNAi などにより機能解析を行う。精子形成過程に影響を及ぼす候補転写産物については、その発現を阻害した精巣と正常に精子形成を進行する精巣との比較トランスクリプトーム解析を行い、上流調節因子や下流で影響を受ける因子など関連因子を選抜する。選抜した遺伝子については、アノテーションによる機能予測とともに、発現様式を確認し、RNAi を用いた発現阻害により精子形成への影響を調べる。また、遺伝子間の詳細な相互作用を示したネットワークデータなどを活用し、in silico の解析からこれらの因子の制御ネットワークを調べる。

次年度使用額が生じた理由

効率的な予算使用を行い。また、成果発表のための学会参加がオンラインとなったため旅費不要となったため、次年度使用額が生じた。次年度の成果発表のための旅費および物品費として使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] トランスクリプトーム解析を用いたハチ目昆虫の精子形成特異的に発現する遺伝子の探索2022

    • 著者名/発表者名
      畠山 正統、炭谷(笠嶋)めぐみ、横井翔
    • 学会等名
      第 58回日本節足動物発生学会大会

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公開日: 2023-12-25  

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