研究課題/領域番号 |
22K05693
|
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
塔筋 弘章 鹿児島大学, 理工学域理学系, 准教授 (60237047)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 分子系統 / 隠蔽種 / ミトコンドリアDNA |
研究実績の概要 |
Perinereis nuntia同胞種群は九州、四国、中国、近畿、中部、関東など日本各地で標本収集を行った。Tylorrhynchus osawaiは九州を中心に標本収集を行った。また、Neanthes glandicinctaは奄美大島、徳之島を中心とした、南九州から南西諸島各地においての標本収集を行った。Namalycastis hawaiiensisは奄美大島以南の南西諸島各地においての標本収集を行った。 得られた標本から高純度のDNAを抽出することができ、ミトコンドリアCOI、16Sリボソームなどの塩基配列を決定できた。これにより、Tylorrhynchus osawai、Neanthes glandicinctaおよびNamalycastis hawaiiensisにおいて複数の隠蔽種の存在が明らかになった。 東アジアのPerinereis nuntia同胞種群(Perinereis shikueii、Perinereis wilsoni、Perinereis mictodonta)については、これまでに得られた標本を加えることにより、日本、韓国、台湾を網羅したサンプルを用い、塩基配列による系統解析を終えた。また、形態だけでは区別がつきにくいこれら3種(うち1種、Perinereis shikueiiには2つの隠蔽種を含む)を確実にに区別するためのPCR-RFLP法による分析法を開発、それらを論文として投稿した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の開始当初は新型コロナウイルス感染症への不安もあったため、採集調査の機会が減ってしまったが、その後は順調に採取を行い、サンプルの形態、塩基配列情報などを解析できるようになった。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究はおおむね当初の計画どおりに進展していく予定である。特に南西諸島での採集調査に力を入れる。 ①DNA塩基配列の比較ならびに形態形質に基づく分類学的検討を行い、種の同定法を確立する。②分子系統学的手法によって種間の系統関係を推定し、生殖隔離の有無を判定する。③遺伝子解析に基づく種同定法を開発、各種の地理的分布を明らかにする。④各種の分類学的記載の見直しを行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
DNA塩基配列決定を行ったサンプルの件数が予定より少なかったために、これにかかる余剰費用が生じた。この分は、翌年度の早い時期に消化する予定である。
|