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2022 年度 実施状況報告書

常態化するカシノナガキクイムシ成虫の年2回発生がナラ枯れの拡大を加速する

研究課題

研究課題/領域番号 22K05757
研究機関国立研究開発法人森林研究・整備機構

研究代表者

北島 博  国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (70353662)

研究分担者 衣浦 晴生  国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (00353665)
齊藤 正一  山形大学, 農学部, 客員教授 (80502583)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードナラ枯れ / カシノナガキクイムシ / 発育零点 / 有効積算温度 / 生活史 / 2化性
研究実績の概要

山形県のナラ枯れ被害丸太から脱出したカシノナガキクイムシ成虫を、コナラ水没丸太に接種して異なる温度条件下で飼育し、次世代成虫が脱出するまでの期間を調べた。コナラ丸太の長さは28㎝、平均中央周囲長は30cmであった。丸太あたり、オス4個体を穿入させ、数日後にメスと交尾させた。交尾日を穿入孔ごとに記録し、交尾が1組でも見られた丸太を、28、25、22、19℃15L9Dの条件下に振り分けた。粉状のフラスが排出され繁殖が成功していると見られた穿入孔にポリカップを取り付けて、ポリカップ内に脱出した成虫を毎日計数した。交尾確認後から成虫が脱出するまでの日数は温度が高いほど早くなり、両者の間には相関関係が見られた。温度25℃では、交尾確認後から初めて成虫の脱出が確認されたのは69日目、交尾確認後から成虫が脱出するまでの平均日数は103日、累積脱出消長から求める50%脱出日は101日となった。山形市において、第1世代の成虫の初発日を既存の予測式で求め、その後のアメダスデータと今回の結果から第2世代の発生日を求めると、第2世代の発生が8月24日と計算された。同様に、山形県産カシノナガキクイムシの結果を関東地方に当てはめると、初発日を5月15日とした時にはつくば市では8月10日に第2世代が出現すると計算された。山形県において9月下旬に第2世代成虫と思われる穿入を調査したが、同県では全域で被害の終息が見られ、第2世代成虫の穿入は確認できなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本課題は、飼育によるカシノナガキクイムシの発育生理の解明から第2世代成虫の出現を予測すること、山形県と茨城県において第2世代の発生を野外調査で確認し、発育生理の予測と比較すること、第2世代成虫の穿入が枯死被害を及ぼすものであるかを確認すること、を計画している。山形県では被害がおおむね終息して、第2世代成虫の確認が難しくなってきているものの、茨城県における野外調査は順調に進んでいる。あわせて、今年度は山形県産カシノナガキクイムシの発育生理を解明し、次年度は茨城県産のそれをすでに開始している。これらのことから、おおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

茨城県産カシノナガキクイムシの発育生理を解明する。茨城県において第2世代成虫が穿入したコナラにおける、カシノナガキクイムシの繁殖とコナラの生死を観察するとともに、第2世代成虫の穿孔の調査事例を重ねる。山形県において、第2世代成虫の穿入事例を調査するとともに、カシノナガキクイムシの繁殖とミズナラの生死を観察する。カシノナガキクイムシの発育生理と野外調査から、温暖な茨城県と寒冷な山形県における第2世代成虫の出現を比較する。

次年度使用額が生じた理由

カシノナガキクイムシ飼育に用いたコナラ丸太を購入する計画であったが、茨城県におけるナラ枯れ被害伐倒木から採取できたため、購入せずに実験を遂行できた。また、山形県と茨城県とで野外調査を数回行う計画であったが、コロナ禍の影響等により計画通りの実施が叶わなかった。R5年度には、カシノナガキクイムシの飼育を行うためコナラ丸太の調達が必要であり、野外調査もR4年度計画分を含めて実施する予定である。

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公開日: 2023-12-25  

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