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2022 年度 実施状況報告書

木質材料の潜在的化学物質放散量推定モデルの構築

研究課題

研究課題/領域番号 22K05775
研究機関国立研究開発法人森林研究・整備機構

研究代表者

宮本 康太  国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (70353878)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード木質材料 / 化学物質放散 / ホルムアルデヒド
研究実績の概要

本研究は、木質材料から放散される化学物質、特にホルムアルデヒドを対象とし、製造工程から使用環境に至る過程における放散特性を把握し、定量的な化学物質の放散マスフローを実験的に導出することを目的としている。
本年度は、木質材料のエレメントとして単板を選定し、単板のみ及び接着剤を塗布した単板を積層し、これらの熱圧工程における放散量の測定手法の検証と影響因子の抽出を実施した。供試材料として樹種の異なる3種類の単板(スギ、ラーチ、メランチ)とメラミン・ユリア共縮合樹脂接着剤を用いた。単板及び接着剤塗布後の単板を4枚積層して、吸排気口の付いた密閉治具内に挿入し、治具ごと熱圧を行った。熱圧温度は125℃、熱圧時間は6分とした。密閉治具の排気口に水分除去トラップを経由して気体採取バッグを接続する捕集経路とし、両者でホルムアルデヒドを捕集する測定系を構築した。密閉治具や捕集経路は、既存のものを活用したが、測定系の密閉度や配管方法に改良を加えるとともに、適した捕集条件を予備的に検証することで、測定毎のばらつきを減じ、より精度の高い測定を可能とした。熱圧中のホルムアルデヒド放散量を測定した結果、放散量には単板樹種の影響がみられたが、その傾向は単板のみと接着剤を塗布した単板とで異なることが明らかとなった。樹種が異なっても接着剤塗布量が同じであれば、単板のみと接着剤塗布単板との放散量の差分は樹種に依らず同程度となることも予想されるが、本測定の結果から樹種による密度の違いや単板の裏割れの発生状況、接着剤の単板への浸透の程度など、複数の影響因子の存在が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は特に熱圧工程中の放散量の測定に注力して、まず測定系の検証を行うとともに適した捕集条件の検討を行うことで、今後の研究推進上、放散特性を十分に比較検討することが可能な体系を確立することができた。これにより、単板樹種が異なる場合の放散特性を定量的に評価することができた。以上の結果から、今後の研究推進のための基盤が確立できたことから、研究全体としておおむね順調に進捗していると判断した。

今後の研究の推進方策

本年度に構築した測定系を使用し、単板もしくは他のエレメントの性状や積層時の層構成、熱圧条件などをパラメータとして、熱圧中及び製造後のホルムアルデヒド放散の測定を実施する。検討したパラメータのうち、ホルムアルデヒド放散量に支配的な影響因子を抽出する。これらの測定結果から、木質材料の製造工程から製造後に至るホルムアルデヒド放散フローの導出可能性を検証する。

次年度使用額が生じた理由

本年度の研究を推進する中で、精度の高い測定系の構築が必要と考えられたため、既存治具の検証と改良に注力したことにより、多量の試験体作成等の消耗品の発生や人件費の支出が生じなかったため、次年度使用額が生じた。次年度は消耗品購入のほか、外部研究者との情報交換や学会参加のための旅費などに使用する予定である。

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公開日: 2023-12-25  

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