研究課題/領域番号 |
22K05802
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
関 清彦 佐賀大学, 農学部, 講師 (00264151)
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研究分担者 |
濱 洋一郎 佐賀大学, 農学部, 教授 (00243999)
後藤 正利 佐賀大学, 農学部, 教授 (90274521)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | スサビノリ / ゲノム編集技術 / プロトプラスト |
研究実績の概要 |
現在海苔養殖品種の殆どが、黒く艶のある高色調性とろけるような口溶けなどの付加価値のあるスサビノリであるが、近年の温暖化等環境変化により、深刻な影響を受けている。持続的な栽培可能な、環境変化に強い新品種の作出のため分子育種法の開発が期待されているおり、本研究ではノリプロトプラストを用いたゲノム編集技術の開発をめざす。本研究において、(Ⅰ)プロトプラストの大量調製システムの構築、(Ⅱ)プロトプラストを用いたゲノム編集システムの開発、(Ⅲ)葉状体再生率の効率化が大きな課題となる。本年度はプロトプラストの大量調製システムの構築を進めるとともに、葉状体の再生率向上のためのプロトプラスト作成方法について検討した。 ノリプロトプラストの調製に必要な細胞壁多糖分解酵素(ポルフィラナーゼ、β-1,4-マンナナーゼ、β-1,3-キシラナーゼ)の大量生産系について、宿主としてBrevibacillusを用いた各酵素の菌体外分泌発現系を構築した。発現プラスミドは、BIC法(Brevibacillus In vivo Cloning法)により作成し、TMNm培地にて分泌生産させたところ、組換え酵素を大量生産(200 mg/Lから1.4 g/L)させることができた。 プロトプラストからの葉状体の再生については、研究協力者からの「完全なプロトプラストを作成すると再生が不十分となる」という指摘から、プロトプラスト作出条件を検討した。細胞間充填多糖をポルフィラナーゼにより分解後、細胞壁構成多糖であるβ-1,4-マンナナーゼおよびβ-1,3-キシラナーゼの添加量を適度に抑えることにより、スフェロプラスト状の細胞が観察された。2023年度は、プロトプラストを用いたゲノム編集技術の構築と葉状体再生率の向上をめざすことにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度の重点課題は、【プロトプラストの大量調製法の開発】【ノリ糸状体プロトプラスト作出の挑戦】であった。プロトプラストの大量調製法の開発については、ブレビバチルス発現系を用い、プロトプラスト調製に必要な組換え酵素を得ることができ、ゲノム編集に必要なプロトプラストを確保することが可能になった。ノリ糸状体プロトプラストの作出に関しては、プロトプラストの作出には至らなかったが、共同研究者が糸状菌のプロトプラストを用いてゲノム編集に成功した。糸状菌プロトプラストを用いたゲノム編集のノウハウをもとに、2023年度ノリ糸状体プロトプラストの作出とそれを用いたゲノム編集に挑戦していく。 本研究の鍵となるのが、①プロトプラストの大量調製と②プロトプラストへの遺伝子導入、③遺伝子導入後のプロトプラストの再生である。本年度の計画では、不完全なプロトプラスト(スフェロプラスト状の細胞)は葉状体への再生効率が高いという指摘のもと、不完全なプロトプラストの調製および遺伝子導入法の検討が重要課題であった。本年度、一部不完全なプロトプラストの作出に成功したため、このプロトプラストの大量調製と葉状体再生率の向上をめざしていくことにした。一方、再生条件により完全なプロトプラストでも効率よく再生可能であることがわかった。このため完全なプロトプラストの再生条件の検討も進めることにした。また、プロトプラストを用いたゲノム編集システムの開発に関しては、遺伝子導入法にPEG法も含め重点課題として取り組むことにした。
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今後の研究の推進方策 |
プロトプラストを用いたゲノム編集システムの開発において、もっとも大きな課題となるのは、プロトプラストを用いたゲノム編集後の葉状体再生である。これを解決するため、2つの対応①ゲノム編集可能かつ葉状体再生可能なプロトプラストの調製、②糸状体のプロトプラストの調製を計画した。 ①不完全なプロトプラスト(スフェロプラスト状の細胞)は葉状体への再生効率が高いという指摘のもと、不完全なプロトプラストの調製および遺伝子導入法を検討する。一方、完全なプロトプラストでも再生条件により、効率よく再生可能であることがわかった。プロトプラストの高効率な再生条件が定まれば、課題のひとつである遺伝子導入の課題が解決する。このため、プロトプラスト再生条件の検討も進めることにした。②糸状体のプロトプラストの調製については、糸状菌のプロトプラスト化を参考に酵素を修正しながら検討する。①の実現可能性が高まったため、②は優先順位をおとして検討することとした。 2023年度は、薬剤耐性を指標として、プロトプラストを用いたCRISPER/Cas9システムによるゲノム編集技術の確立をめざす。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度の重点課題である、ゲノム編集のための予備実験を含めた準備を2022年度に計画していたが、コロナ感染症の影響で2023年度に繰り越したため。 ゲノム編集に係る試薬等の経費が、2023年度に繰り越される以外は予定通りの使用を計画している。
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