高温での加熱と冷却を繰り返せば芽胞菌が滅菌できることは予備試験の結果から明らかになった。一方で、これを繰り返した場合、ミオシン重鎖の割合が減少し、かまぼこゲルの物性が低下することが明らかになっている。この問題を解決するためには、耐熱芽胞細胞の発芽を促し、栄養細胞にした状態で出来るだけ低温かつ少ない回数で加熱冷却を繰り返す必要がある。このため、芽胞菌の芽胞細胞が最も発芽しやすい塩分濃度を解明した。 また、明らかにされた塩分濃度は3%まででそれ以上は芽胞の発芽促進には効果が無かった。 一方で、L-アラニンを始めとするアミノ酸は、芽胞細胞の発芽を促進することが古くから知られている(JF. Powell. Factors affecting the germination of thick suspensions of Bacillus suhtilis spores in L- alanine solution. Microbiology 4 (1950) 330-338)ことから、これがかまぼこゲル中の芽胞細胞の発芽に及ぼす影響について検討した。1%のL-アラニンを添加することにより芽胞細胞の発芽が促進されることが明らかとなった。
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