研究課題/領域番号 |
22K05831
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
筒井 直昭 三重大学, 生物資源学研究科, 教授 (00643785)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | インスリンファミリー / 生殖腺 / クルマエビ |
研究実績の概要 |
主にクルマエビの雄性生殖腺で発現するインスリンファミリー、Maj-ILP2とMaj-GON (ILP3) の機能解析の一環として、二本鎖RNAを用いた遺伝子発現抑制を試みた。成体雄を用いて二本鎖RNA投与後2日目の遺伝子発現を調べた試験では、ILP2に対する二本鎖RNAを投与した群の脳神経節におけるILP2遺伝子の発現が、対照として緑色蛍光タンパク質に対する二本鎖RNAを投与した群と比較して10%程度にまで有意に抑制された、一方で、ILP2の主要な発現部位である精巣では遺伝子発現量に有意な差が認められなかった。GONに対する二本鎖RNAを投与した群では、貯精嚢においてGON遺伝子の発現が対照群の10%以下にまで有意に低下した。一方で、貯精嚢より発現量は少ないもののGONの発現部位である精巣では、遺伝子発現量に有意な差はみられなかった。これらの結果から、二本鎖RNAにより両インスリン様ペプチド遺伝子の発現抑制は可能であるが、生殖腺での発現抑制を確認するためには、より長い飼育期間が必要か、複数回の投与が必要と考えられた。また、ポストラーバ変態後25日の稚エビについて、週1回の投与を3週にわたって行い、ポストラーバ変態後54日頃までの飼育を行った試験では、ILP2、GONそれぞれに対する二本鎖RNA投与群とも、対照群と比較して体長、体重、死亡率などに有意な差は観察されなかった。なお、この試験に用いた個体では、各インスリン様ペプチドの発現組織のみを摘出することが困難なため、遺伝子発現量の確認は行われなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2種類のインスリンファミリー、Maj-ILP2とMaj-GONについて、dsRNAの投与による遺伝子発現抑制が可能なことが示された。また、概要には示していないが生殖腺のトランスクリプトーム解析も行っており、解析に必要な分子基盤の整備は進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は稚エビや成体を対象とした長期のdsRNA投与実験により、何らかの表現型を得る試みを続けるとともに、トランスクリプトーム解析や組織学的観察も併用することにより、対象とするインスリンファミリーの機能解明につなげる。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に予定していた実験が、都合により必要数の実験動物が確保できなくなり延期となったために次年度使用額が生じた。当該の実験は次年度初頭に行う予定であり、繰り越した予算はその際に使用するので問題はない。
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