研究課題/領域番号 |
22K05831
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
筒井 直昭 三重大学, 生物資源学研究科, 教授 (00643785)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | インスリン様ペプチド / 生殖腺 / クルマエビ |
研究実績の概要 |
クルマエビの雄性生殖腺のうち、精巣が主な発現部位であるインスリン様ペプチドMaj-ILP2と、輸精管が主な発現部位であるMaj-GONの機能解析を行った。 まず、昨年度に引き続いて稚エビに対する二本鎖RNAの投与を試みた。投与頻度は昨年度と同様に週1回としたが、期間は3週間から5週間に延長した。雌雄ごとにdsILP-2の投与群と、緑色蛍光タンパク質遺伝子に対するdsRNAを投与した対照群とを比較した結果、全長、体重、肥満度のいずれにもMaj-ILP2遺伝子の抑制による影響は観察されなかった。一方、dsGONの投与群と対照群との比較では、全長については差がなかったものの、体重については雄のdsGONの投与群で低下傾向が、肥満度については有意な低下がみられた。雌においては全長、体重、肥満度のいずれにも有意な差はなかった。これらのことから、稚エビ期の雄ではMaj-GONが成長の制御に関与する可能性が考えられた。効果の雌雄差の意味するところは、次年度以降に検討する必要がある。 また、有性生殖腺を複数の部位に分け、Maj-GONの詳細な発現部位を調べた結果、輸精管のうち精巣直後の近位輸精管とそれに続く中位輸精管の開始部に発現が限定することが分かった。精巣でのMaj-GONの発現量が個体により大きく異なる結果を以前に得ていたが、これはサンプリング部位のばらつきに起因し、生理的条件によるものではないと推測された。 加えて、卵巣が主な発現部位であるMaj-ILP1の機能解析の一環として、肝膵臓で発現する新規の卵黄タンパク質遺伝子(Maj-Vg2)の特徴づけを行うとともに、Maj-ILP1が新規Maj-Vg2および既知のMaj-Vg1という2種の卵黄タンパク質遺伝子の発現に影響することを、肝膵臓と卵巣の培養系を用いて示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
機能未知であったクルマエビのインスリン様ペプチドのうち、Maj-GONについては稚エビ期の成長に関わる可能性を、Maj-ILP1については亜成体期の卵黄タンパク質遺伝子の発現に関わる可能性を見出すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
輸精管の機能形態学的な検討例は少ないので、Maj-GONを切り口として解析を試みる。また、トランスクリプトーム解析等を通じてペプチドの受容体の探索も試みることなどにより、クルマエビのインスリン様ペプチドが司る生体調節機構を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
3月に購入する予定だった実験動物(天然由来)が確保できなくなったために次年度使用額が生じた。繰り越した予算は次年度に当該の実験を行う際に使用する。
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