研究課題/領域番号 |
22K05840
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研究機関 | 国立研究開発法人水産研究・教育機構 |
研究代表者 |
湯浅 光貴 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産技術研究所(廿日市), 任期付研究員 (00898984)
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研究分担者 |
紫加田 知幸 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産技術研究所(長崎), 主任研究員 (40603048)
内田 肇 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産技術研究所(長崎), 研究員 (50805132)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 有害赤潮 / 魚毒性 |
研究実績の概要 |
有害赤潮原因プランクトンAlexandrium leeiの魚毒成分を特定するために、令和4年度は、液液分配や固相抽出による毒成分の化学的な極性の把握と適切な分画精製法の検討を行った。A. leeiの凍結融解液を水とジエチルエーテル、次に乾固したジエチルエーテル画分を、メタノールとヘキサンで液-液分配した。各画分の有機溶媒を除去し、ヒメダカに暴露した結果、水層に凍結融解液と同等の毒性が確認され、ジエチルエーテル層およびヘキサン層、メタノール層に毒性は確認されなかった。次に、A. leeiの凍結融解液を疎水性物質を吸着する合成吸着樹脂に通して含水メタノールで分画した。試料を乾固した後、滅菌海水に希釈した分画液をヒメダカおよびブリ稚魚に暴露し、有毒画分を確認した。次に合成吸着樹脂の有毒画分をオクタデシルシリル化(ODS)シリカゲル担体に通して含水メタノールで分画し乾固した後、滅菌海水へ希釈した試料をヒメダカへ暴露した結果、一部の分画液でヒメダカへの強い毒性を確認した。 以上により、A. leeiの有する魚毒成分を液液分配やクロマトグラフィーで分画精製できることを確認し、適切な担体を選定することができた。また、ヒメダカだけでなくブリでも同様の分画液でへい死が確認されたことから、養殖対象魚に対する魚毒成分を検出できていると考えられる。さらに、液液分配およびクロマトグラフィーによる分画の結果からA. leeiの魚毒成分は両親媒性の化合物である可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、液液分配による魚毒性物質の極性の把握し、適切な固相抽出担体を選択することができた。また、固相抽出によって安定的に魚毒含有画分を分画することができているため、おおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は固相抽出によって分画したA. leeiの魚毒含有画分を高速液体クロマトグラフィーに供して更なる分画精製を行い、得られた分画液をヒメダカ等へ暴露して、魚毒含有画分を特定する。また、物質特定を見据えた分画精製には、初発の培養液が大量に必要になるため、A. leeiの10 L規模の大量培養系の構築を目指す。
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