研究課題/領域番号 |
22K05845
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
藤科 智海 山形大学, 農学部, 教授 (80576645)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | バリューチェーン / サプライチェーン / 主体間関係 / 価値共創 / リサイクル |
研究実績の概要 |
循環型フードシステムの動脈流通におけるバリューチェーンの構築に関する研究として、地域内循環の視点から、山形県庄内地域において、庄内産豚肉とその豚肉加工品に対する地域住民の購買行動と意識を明らかにした。山形県庄内地域は、養豚業が盛んで、食肉加工業者が集積しているので、対象地域とした。庄内産豚肉とその豚肉加工品を販売しているスーパーマーケットの利用者と考えられる半径1㎞圏内の一戸建て住宅の1,568世帯に配布し、244部を回収した(回収率15.6%)。普段購入している豚肉と豚肉加工品の原料豚肉の産地割合を合計10割で答えてもらったところ、豚肉では、庄内産4.8割、県内産1.4割、国産2.4割、外国産0.7割と、庄内産を購入している住民が多いという結果となった。一方、豚肉加工品については、庄内産2.2割、県内産1.0割、国産3.7割、外国産0.5割と、国産を購入している住民が多いという結果となった。 地域外流通におけるバリューチェーン構築の視点から、山形県河北町のかほくイタリア野菜研究会を事例として、生産者とイタリア野菜の提供先である飲食店が価値共創を行っているのかどうかを明らかにした。価値共創の4つの要素による評価を行い、「対話」からは、調査した飲食店4店舗中3店舗が生産者の圃場を訪れたことがあるなど、生産者と飲食店との交流が見られた。「利用」からは、飲食店として、素性のわかる農産物を使っていることや生産者を応援していることを消費者に伝えられることに価値を見出していた。「リスク評価」からは、不作のリスクがあることを飲食店も理解し、欠品時は料理のメニュー変更などで対応していた。「透明性」からは、生産者の栽培計画がホームページで公開されており、飲食店はそれを仕入れの参考にしていた。以上の4つの要素から見て、かほくイタリア野菜研究会と飲食店は価値共創していると評価した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
循環型フードシステムの動脈流通におけるバリューチェーン構築に関する研究が進展した。地域内循環の視点から地産地消に関する地域住民の購買行動に関する研究、地域外流通におけるバリューチェーン構築の仕組みとしての価値共創に関する研究を進め、両研究とも、学会発表を実施した。
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今後の研究の推進方策 |
地域内循環の視点から地産地消に関する地域住民の購買行動に関する研究、地域外流通におけるバリューチェーン構築の仕組みとしての価値共創に関する研究は、学会発表後の論文投稿を実施していく。 動脈流通におけるバリューチェーン構築に関する事例として、ブランド化の取り組みを見ていく。山形県東根市のGI「東根さくらんぼ」を事例として地理的表示保護制度(GI)の効果などを検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
特に研究の進捗が悪かったわけではないが、若干の差引額が残った。次年度はその分も含めて、研究を推進していく。若干であるので、特に使用計画に変更はない。
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