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2023 年度 実施状況報告書

子ども期の貧困が成人後の食生活に及ぼす影響

研究課題

研究課題/領域番号 22K05849
研究機関神戸大学

研究代表者

石田 章  神戸大学, 農学研究科, 教授 (50346376)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
キーワード食意識 / 食行動 / 子ども期 / 行事食
研究実績の概要

独自に実施したインターネット調査の個票データを用いて,行事食の摂取頻度,次世代への継承意向,行事食に対するイメージに影響を与える要因を明らかにすることを目的とした。カテゴリカル構造方程式モデリングを用いた推定結果より,性別・年齢,現在の経済状態,子ども期の経済状態,食卓環境などの個人属性が,行事食の摂取頻度,次世代への継承意向,行事食に対するイメージに影響を与えていることが明らかとなった。より具体的には,1)女性,2)50・60歳代,3)現在の経済状況が良好な者,4)子ども時代の経済状況が良好であった者,5)子ども時代の食卓環境が良好であった者ほど,行事食の喫食頻度が高く次世代への継承意向と行事食に対する良好なイメージを有していると考えられる。こうした分析結果に加えて,子ども期の喫食頻度や食卓環境の総合効果が他要因のそれよりもとくに大きいことを総じて考えると,子ども期における良好な食卓環境や行事食を食べた経験が成人後の喫食頻度や行事食に対するイメージのみならず,次世代への継承意向にも大きく影響を及ぼすと考えられる。
つぎに,独自に実施したインターネット調査の個票データを用いて,子ども期の食経験が成人後の食意識に及ぼす影響を分析した。多変量解析を用いた分析の結果,1)食品購入時の安全性に関する表示確認については、現在の経済状況が影響すること、2)食の安全性に関する意識に関しては,子ども期の家族との会話量などが影響し、子ども期から現在にかけての経済状況の変化による影響はあまり大きくないこと,3)栄養バランスに関する食意識についても、子ども期と現在の経済状況の変化が及ぼす影響は小さいことを指摘した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

子ども期の経済状況や食経験が成人後の食行動や食意識,行事食の継承意向に及ぼす影響について,独自調査のデータを用いて定量的に分析を行い,研究成果を学術誌に公表することができた。よって,研究はおおむね順調に進展しているといえる。

今後の研究の推進方策

昨年度は,子ども期の経済状況に加えて食経験の要因も含めて,成人期の食行動・食意識に及ぼす影響について検討を行った。今年度は,子ども期におけるfood parenting(親の食育行動)が成人後の食意識・食行動,食育意識,食物選択に及ぼす影響に関して分析を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

想定していた以上に二次データを用いた分析が可能であったことに加えて,1回当たりのアンケート調査費用も質問項目の見直し等によって削減することができたため,当初予定していたよりもアンケート調査費を大幅に安く抑えることができた。昨年度からの繰越額については,現在投稿中の複数の論文の投稿料および現在執筆中の論文の英文校閲費等に用いる予定である。今年度配分される助成金に関しては,主に海外での調査のために支出する予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 行事食の喫食頻度・継承意向・イメージに関する考察2024

    • 著者名/発表者名
      石田章, 岡本裕希, 松田紀美
    • 雑誌名

      開発学研究

      巻: 34(3) ページ: -

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Ethical consumption and food recovery hierarchy behaviors: a clustering analysis in Japan2024

    • 著者名/発表者名
      Morais Ana Catarina、Ishida Akira
    • 雑誌名

      Journal of Environmental Studies and Sciences

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1007/s13412-024-00896-3

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Ethical food consumption drivers in Japan. A S-O-R framework application using PLS-SEM with a MGA assessment based on clustering2024

    • 著者名/発表者名
      Morais Ana Catarina、Ishida Akira、Matsuda Ruriko
    • 雑誌名

      Journal of Retailing and Consumer Services

      巻: 76 ページ: 103556~103556

    • DOI

      10.1016/j.jretconser.2023.103556

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Do Food Price Subsidies Increase Nutritional Intake of Indonesian Households?2023

    • 著者名/発表者名
      Amrullah Eka Rastiyanto、Susilawati Pepi Nur、Hidayah Ismatul、Rusyiana Aris、Ishida Akira
    • 雑誌名

      AGRARIS: Journal of Agribusiness and Rural Development Research

      巻: 9 ページ: 258~277

    • DOI

      10.18196/agraris.v9i2.172

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 子ども期からの経済的変化が成人後の食生活に与える影響:子どもをもつ母親を対象として2023

    • 著者名/発表者名
      松田紀美、石田章
    • 学会等名
      日本農業市場学会
  • [学会発表] 子ども期における生活環境が成人後の食行動に及ぼす影響2023

    • 著者名/発表者名
      石田章、阪本裕香、松田紀美
    • 学会等名
      日本農業市場学会

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公開日: 2024-12-25  

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