研究課題/領域番号 |
22K05850
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
松田 敏信 鳥取大学, 農学部, 教授 (40301288)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 内食・中食・外食需要 / 緊急事態宣言 / 時空間解析 / 自然実験 / 中断時系列デザイン |
研究実績の概要 |
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い発令された緊急事態宣言は,国民の暮らしに様々な影響を与え,食生活にも大きな変化をもたらした.諸外国で実施されたロックダウン(都市封鎖)や外出禁止と異なり,法的な強制力は伴わないものの,緊急事態宣言下における外出自粛や飲食店の営業時間短縮により,多くの消費者にとって外食の機会が減った一方で,家で食材を調理する内食や弁当,総菜などを購入して持ち帰る中食の機会が増えたことが指摘されている.緊急事態宣言は,食料需要に対して具体的にどのような影響を与えたのか. 新型コロナウイルスの感染拡大が消費者の需要に与えた影響に関して,個別の事例や統計データに基づく報道はしばしば目にするが,経済学的な観点からの定量的研究はまだ少ない.内食・中食・外食需要への影響について因果推論を行った研究は,現時点では見当たらない.本研究の目的は,新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言の内食・中食・外食需要に対する因果効果を明らかにし,支援などの政策決定に必要なエビデンスを示すことである. 本研究の分析における最大の特徴は,因果推論に時空間解析の手法を導入する点にある.月別・都市別の疑似パネルデータを用いた食料需要分析において,通常の固定効果として推定された都市効果パラメータは,都市間の距離が小さいほど似ているという地理学の第1法則に矛盾するような推定値となることが少なくない.令和5年度の本研究ではこうした問題を解消してより現実的な分析を行うために,時間情報(年と月)に加えて都市の位置情報(経度と緯度)を変数に導入してデータを時空間データとして扱うことで,アウトカムの時空間相関を考慮した.因果推論に時空間解析を導入した研究や食料需要分析に時空間解析を応用した研究はまだない.本研究は,食料需要分析と因果推論に時空間解析の方法を取り入れる初めての試みとなっている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一定の研究成果を出し,研究成果を学術雑誌に出版したため.
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今後の研究の推進方策 |
分析・考察を深化させるとともに,研究の取りまとめを行う.
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