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2022 年度 実施状況報告書

米需給問題の背景にある構造的要因としての栄養、食文化、作目転換等の長期分析

研究課題

研究課題/領域番号 22K05852
研究機関筑波学院大学

研究代表者

荒幡 克己  筑波学院大学, 経営情報学部, 教授 (90293547)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2027-03-31
キーワード動物性タンパク質摂取比率 / Asia Accelerated Growth / デンプン系食品 / Food Convergence / 水田畑地化 / 田畑輪換
研究実績の概要

研究着手の初年目として、米需要の現状把握を正確に行うため、計量経済モデルを構築して、各種の統計データを用いて、40年程度の中期のパネル分析を行った。
その結果、かつて言われていたデンプン系食品の減少と、動物タンパク質摂取比率の上昇による米消費減退の作用は、1990年以降、かなり沈静化していることがわかった。これは、欧米研究者からは、East Asian Accelerated Growthと言われてきた急進的な食生活の動物性タンパク比率の上昇が、欧米と同様に収まってきたことを示すものであり、妥当な結果であった。
一方、デンプン系食品の中での米の比率は、一貫して低下していた。ただし、それは、海外で、特に欧米諸国で進んでいるFood Convergenceの動向と軌を一にするものと位置付けられる。即ち、フランスにおいて進行している、イタリア料理としてのパスタの消費増加と、類似の性格のものである。各種文献からすれば、それはむしろ不可避の変化と見るべきものと解釈できる。
これらの分析を踏まえつつも、現下の農政課題である、農林水産省が推進する水田の畑地について、2050年を見据えた長期予測分析を行った。そこでは、各県、各農協等からの聞き取り調査も行った。その結果、2050年時点で30~50万haの畑地化が避けられない、との予測を得た。現在、農政が進めている年10,000haの水田畑地化は、この意味で、正当化できるものであることが、側面的に明らかとなった。ただし、その補助金の在り方等では、種々の批判が、現場から厳しく指摘されていることも、聞き取り調査の結果から明らかとなった。
次年度は、これを更に精緻した分析へと進めていく所存である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

コロナの影響で、現地に赴いての調査は不十分であり、この面では、当初計画と比較して進捗は遅れているが、その分、空き時間を活用して、統計分析と海外文献調査は、計画以上に進み、トータルとしての進捗度合いは、概ね順調である。

今後の研究の推進方策

海外文献の調査は、これまでアメリカ中心であったが、ヨーロッパの文献についても、幅広く調査していく計画である。国内では、社会経済史学会での知見を基に、長期、歴史的に、米生産、水田畑地化等の問題を分析していく計画である。
その一方で、全国各県調査も、コロナの影響も沈静化してきたので、再開して、現地の情報を詳細に掴んでいく所存である。

次年度使用額が生じた理由

コロナにより現地調査を自粛したため、旅費の使用額が抑制されている。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 2050年における米需要と生産の見通し及びその政策ビジョン2023

    • 著者名/発表者名
      荒幡克己
    • 学会等名
      フードシステム学会

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公開日: 2023-12-25  

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