研究課題/領域番号 |
22K05854
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研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
竹内 重吉 東京農業大学, 国際食料情報学部, 准教授 (60595685)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 地域農業 / 都市農業 / 生産緑地 / 相続 / インセンティブ |
研究実績の概要 |
2023年度は主に次の研究を行った。地域農業における農地資源の管理、保全を目的に、大都市近郊地域を対象とし、都市農家、地主における都市農地の相続、継承について、そのインセンティブ構造を分析し、相続税に関する政策のインセンティブ効果を分析した。 分析対象地域における農地の相続登記について、その動向を整理したところ、指定から30年を迎える2022年を前に、直近の10年間で相続登記された農地が全体の3割を占め、近年の相続登記が多いことがわかった。 生産緑地所有者に相続が発生した場合、その相続には多額の相続税が課せられるため、納税猶予の制度を活用する所有者が少なくない。そして、その相続税額は経済的な影響が大きいため、所有者の農地活用行動にも影響する。所有者の相続税の支払い状況をみると、生産緑地法改正後の1992年以降、相続税納税猶予を受けていない件数が一旦減少した後、増加傾向にあった。加えて、1992年以降の相続において、相続税納税猶予を受けていないのは52%、相続税納税猶予を受けているのは48%と、それぞれほぼ半数である。これらのことから、生産緑地法の改正が相続税の対応に影響していることがわかった。 都市農地が比較的大きいエリアでは、1992年から相続税納税猶予を受けて相続している件数が一定数あるが、相続税納税猶予を受けていない件数も増加している。これは、納税猶予制度は終身営農継が条件とされているため、後継者不足が深刻な地域では、営農を継続していくことが長期的に難しいと考える所有者がいたためと考えられる。 このように、相続には多額の相続税が課せられるため、一定のインセンティブ効果から、相続税納税猶予を受ける所有者がいる一方、納税猶予制度は終身営農継が条件とされているため、その制約から受けない所有者も存在することが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は,調査分析によって得られた研究成果を取りまとめ,書籍論文1件,学会発表2件の成果公表を行った。以上から,研究は計画通り,おおむね順調に推進できたといえる。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は,研究課題として,地域の各主体における取組みのインセンティブ構造を分析し,既存政策における取組みのインセンティブ効果を分析する。そして,各主体の行動原理を踏まえて,よりインセンティブが機能する制度設計を考察する。研究成果の公表については,調査分析結果を取りまとめ,学会発表を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
現地調査・アンケート調査および研究成果の取りまとめに関する一部研究計画の変更のため。次年度,現地調査旅費およびアンケート調査実施費用、研究成果の発表のための支出等に支出する。
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