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土壌中での窒素炭素動態の理解は,農業の持続的展開や気候変動への適応などの課題解決のために重要であり,そのためには水分溶質移動・土壌微生物活動・植物の根による吸水と養分吸収の相互作用を考慮する必要がある.本研究では,コマツナの根の分布・吸水・窒素吸収および微生物活動が水分移動過程における土中の窒素動態に与える影響を明らかにするための一次元カラム実験を行っている.2023年度の実験で脱窒による窒素の損失が確認されたため,2024年度は,先ず,脱窒が生じないよう実験の行程を見直した.播種から実験開始までの期間,試料が高水分量に保たれることが脱窒の要因であると考えられたことから,育苗トレーで生育させた苗を実験カラムに移植し,直後に実験を開始することとしたところ脱窒を回避できた.この方法で,これまでに行った日射量の異なる条件において,改めてカラムコマツナ栽培実験を行った.その結果,窒素の損失は見られず,改良後の実験行程においては窒素動態を概ね捉えることができていることが確認された.2024年度はさらに,窒素濃度の異なる条件での実験を行った.これは,これまでの実験で得られた水分量分布・窒素量分布・根長分布の変化,及び根が吸収する窒素濃度の関係を明らかにするためである.その結果,窒素の施用量の違いはコマツナの吸水に伴う水移動に起因する窒素移動に影響し,根が吸収する窒素濃度との関係から窒素量の分布の変化に影響を及ぼすことが示された.現場観測では,圃場の試験区においてコマツナの生育過程での土壌センサーによる水分量と電気伝導率の変化を観測した.また,電気伝導率の推定については,用いる推定モデルによる違いについて検証した.
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