研究課題/領域番号 |
22K05889
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研究機関 | 石川県立大学 |
研究代表者 |
一恩 英二 石川県立大学, 生物資源環境学部, 教授 (10320912)
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研究分担者 |
藤原 洋一 石川県立大学, 生物資源環境学部, 准教授 (10414038)
長野 峻介 石川県立大学, 生物資源環境学部, 准教授 (90646978)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | メダカ類 / ドジョウ類 / タナゴ類 / 遡上実験 / 管水路 / 巡航速度 / PITタグ / 環境DNA |
研究実績の概要 |
2023年度は、ドジョウ属を対象とした、安価かつ高性能で設置しやすい新たな管水路型魚道を開発し、遡上実験を行い、①この魚道がドジョウ属に適するのかどうか、②ドジョウ属の遡上に影響を与える因子は何か、③開発した魚道はどのような水位差で設置できるか、以上3点を検証した。 遡上実験の結果、魚道内径18mm、水温35℃、管内流速45cm/sの条件の実験を除いたすべての実験でドジョウの遡上が確認できた。実験の結果、管内流速をドジョウの巡航速度程度である約15cm/sに設定した実験で最も遡上個体数が多くなる傾向がみられた。GLMMによる統計解析の結果、内径+飼育水槽水温+流速のモデルがベストモデルに選ばれた。また、管内流速を含むモデルのAkaike weightの合計値が最も大きかったことから、管内流速がドジョウの遡上の有無に対し最も重要性が高い因子であり、管の内径や供試魚の飼育水槽水温もドジョウの遡上の有無に関係すると考えられた。2023年度の実験において、ドジョウが遡上した魚道の水位差は3~10cm程度であった。 これらの研究成果は、2023年10月20日の応用生態工学金沢第21回北信越現地ワークショップin石川(金沢)および2023年11月3日の第31回日本雨水資源化システム学会大会(琉球大学)で発表された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
メダカ類、ドジョウ類、タナゴ類等の水田周辺の魚類が管水路魚道を遡上可能であることが確認されたから。また、当初の計画にはなかったPITタグや環境DNAを用いた管水路魚道の実証試験についても具体的な検討を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
水位差50~100cmの条件でメダカ類やドジョウ類が遡上可能な管水路魚道の開発を引き続き行う。水田に設置する魚道はできるだけ設計流量を小さくする必要があることから、魚道の上り口と下り口に弁を取り付けた管水路魚道の試作を行う。低流量、高水位差の管水路魚道の開発を推進する。石川県立大学の付属農場の水田と隣接する小排水路を使用して野外実証試験を開始する。魚類の移動状況はドジョウかごやPITタグを用いてモニタリングし、調査水田周辺の水域も含めてドジョウ等の魚類の生息密度を採捕調査と環境DNA調査でモニタリングする。
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次年度使用額が生じた理由 |
老朽化した研究用PCや水温調節装置が引き続き故障することなく使用可能である。今後、実験が進捗にあわせて必要に更新を行う。また、今年度以降、野外実証試験でPITタグや環境DNA分析を用いたモニタリングを計画している。
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