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2022 年度 実施状況報告書

圃場整備における色彩景観に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 22K05898
研究機関特定非営利活動法人環境修復保全機構(研究センター)

研究代表者

山路 永司  特定非営利活動法人環境修復保全機構(研究センター), 研究センター, 研究員 (10143405)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード圃場整備 / 構造物 / 色彩 / 評価
研究実績の概要

今年度は、傾斜農地を中心に調査をおこなった。坂折棚田では、国営農用地総合整備事業の一部として1998-2012年度に圃場整備がおこなわれた。各農家の意向調査を踏まえ、4つにゾーニングされた。すなわち、①区画整理をおこない機械化による農業振興を図るエリア、②石積み棚田を残しながら農道等を整備し農作業の安全性の向上・営農の持続を図るエリア、③当面は現状のままで営農の持続を図るエリア、④植林等農業以外の土地利用を図るエリア、である。これまでも棚田の圃場整備においてゾーニングが行われたことはあるが、当地区のように細かく区分されたケースはない。②石積み棚田エリアでは、農道を広げ舗装し作業性を向上させ、概ね保全されている。石垣が崩壊した箇所は速やかに補修される。この補修は、都市住民による石積み体験とも重ねておこなっている。石垣を維持することは、地山から出る石の処理という消極的理由に加え、生産上および景観維持という積極的理由もあることが確認された。生産上の理由は、乾いた石の比熱が水分を含む土壌の比熱よりも小さいことから、土坡の畑よりも石垣の畑の方が地温の日較差が大きくなり、良質の作物生産に有効であると説明されている。これは、ヴァッハウ地域の葡萄畑、遊子のジャガイモ畑に共通する。石垣の高さは、段畑では1.2-1.5mが多く2mを超えるものは少ない。一方、棚田では耕区面積を広く取りたいため、2m前後が多く、7-8mに達するものもあった。景観維持の理由は、自治体の観光部署等にとっては重要だが、農家にとっての利益はないと思われる。しかしヴァッハウの農家は、伝統を守ることはたいへんな作業を伴うが、伝統を守ることが消費者の信用に繋がっている、と利益を説明した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度は、圃場整備事業地区の事例抽出として、整備事例集、表彰・コンクール等受賞地区、公共事業評価(完了後評価)資料より、主要工事に区画整理 、農地造成、整地工等を含み、かつ景観配慮対策の実施が確認できる地区を抽出した。加えて、近年の圃場整備事業ではないが、「つなぐ棚田遺産」顕彰271地区から、とくに景観維持活動を重視している地区を抽出した。これらの地区を中心に、国内6自治体13地区で調査をおこなった。また、良好な景観を有する海外の農地においても1地域2地区で調査をおこなった。

今後の研究の推進方策

景観評価:初年度に収集した調査地域の画像、それを加工した画像を用いて、景観評価の調査票を作成する。棚田2地域および段畑2地域において、保全活動をおこなう人々、関心を持つ人々を対象に、それぞれの画像に対する評価をSD法、文章記述法、対比法により評価して貰う。得たデータは多変量解析によって整理する。被験者の属性についても調査倫理規程の範囲内で質問し、属性と評価値との関係を整理する。(令和5年度)
評価メカニズムの追究:都市部および農村部から少数の被験者を募り、1文章での記述について単語と評価との関係性を抽出・整理する(量的調査)。2 評点に至る判断フローを対面で確認する。具体には、好嫌評価に影響を与えた単語を一つ一つ確認する(質的調査)。(令和5 -6年度)
景観配慮の合意形成と決定プロセス:圃場整備完了済地区において、農家意向の設計への反映をヒアリングする。圃場整備実施地区についても同様の調査をおこなう。(令和5-6年度)

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 世界遺産ヴァッハウ地域の農地景観2023

    • 著者名/発表者名
      山路永司
    • 雑誌名

      日本景観学会誌

      巻: 23 ページ: -

  • [学会発表] 横浜市における無電柱化による景観・防災力の向上2022

    • 著者名/発表者名
      山路永司
    • 学会等名
      日本景観学会

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公開日: 2023-12-25  

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