研究課題/領域番号 |
22K05911
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
野上 大史 九州大学, 工学研究院, 助教 (50736147)
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研究分担者 |
矢用 健一 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産研究部門, 研究領域長補佐 (40343967)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ウシウエアラブルストレスセンサ / ウシ疾病予防 / 健康飼育 |
研究実績の概要 |
畜産において疾病を予防するためにストレスをかけない飼養管理は最重要である。疾病を予防するには個体ごとにストレスを軽減・緩和させる必要があり、個体ごとのストレスの見える化が必要である。これまで、ウシでのストレス反応を計測してきており、以下の課題が判明している。 ①ヒト用の光電式脈波センサチップ(緑色)をウシに使用した場合、測定できないことがある。 ②測定時に加圧することで明瞭な脈波信号を得ることができるが、腕時計のようにベルトの締結力を利用する方法は、長期間の使用では緩みが生じてしまう。 22年度はこれら課題に取り組んだ。近赤外領域の波長の光源を使用、測定部(ウシの皮膚と脈波センサチップの接触部)のみに常に一定圧を付与可能な機構をバネの復元力を用いた装着帯で実現した。ウシでの装着試験において、取り付け取り外しを複数回行い検証した。この結果、明瞭な脈波信号が常に確認できた。また、これまで脈波信号が確認できるまで数十分ほど時間を必要とすることもあったが、本実験においては、取り付け取り外しに30秒程度で行うことができ、かつ取り付け直後に脈波信号が確認できるようになった。農場での使用を考慮した場合に、優位性は大きい。 また、体動への影響により検出精度が低下することがわかっているため、レーザドップラ式血流計を用いた体動除去アルゴリズムの開発を行っている。この開発では、センサ部の小型化、体動による影響の低減を確認できている。 23年度では、ウシにおいて心電計を用いたストレス反応計測との比較を行う。体動の影響により、検出精度が落ちることがわかっているため、ビデオカメラ、加速度センサ・レーダセンサを用いて、体動を定量化し、体動の大きさと検出精度の関係性を明らかにする。これら実験結果を参考にして、体動がある中でも測定可能なセンサシステムの実現を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
申請時の予定では、22年度と23年度にかけて、ウシに装着可能なウエアラブルストレスセンサ端末および安定した装着方法を確立する予定であった。初年度において本予定が達成できており、次年度においてウシでの心電計との比較試験を行うことができる。ゆえに「(1)当初の計画以上に進展している」とする。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定より、計画を前倒しし、以下のことを行う予定である。 23年度 ・心電計との比較による、ウシでの24h装着試験によるストレス反応システムの評価 ・農場での課題抽出のための、ウシでの複数頭数長期装着試験 24年度については、23年度の試験結果をもとに計画を立てる。
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