研究課題/領域番号 |
22K05918
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
蔦 瑞樹 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品研究部門, 上級研究員 (80425553)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 近赤外分光法 / 器差補正 / 多変量解析 |
研究実績の概要 |
2022年度はシミュレーションに基づく複眼化の効果検証を行った。具体的には、公開されているトウモロコシの近赤外スペクトルを用いた。このうち1点のデータを選択し、吸光度に最大±10%、波長に最大±5%のずれを付与した10000点のスペクトルを合成した。これを個々の分光センサが出力するスペクトルとみなし、(1)ランダムに1つの分光センサを選択して仮想的な分光装置とみなす、(2)ランダムに選択した16個を複眼化し、スペクトルの中央値を仮想的な分光装置の出力とする、(3)予め個々の分光センサの出力特性を把握しておき、特性の異なる16個を複眼化し、スペクトルの中央値を仮想的な分光装置の出力とする、という3つの方法について、仮想的な分光装置間の器差を比較した。仮想的な分光装置の数は100個とし、シミュレーションは10回繰り返した。 このうち上記(3)においては、10000点の合成スペクトルに対して主成分分析を実施して2次元の主成分得点に圧縮した。主成分得点に基づいてk-means法によるクラスタリングを実施し、分光センサを8つのグループに分類した。その後、各グループからランダムに2個ずつ分光センサを選び、計16個を複眼化して仮想的な分光装置を合成した。その結果、方法(3)では(1)、(2)に比べて仮想的な分光装置間のばらつきが低減され、標準偏差は(1)、(2)に比べてそれぞれ約10%、約45%に抑えられた。以上より、分光センサの複眼化により分光装置の器差低減が可能と期待される。 また、16個の小型分光センサよりなる複眼型分光装置を試作した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2022年度中を予定していた試作機械発が完了し、また2023年度中を予定していた器差解消アルゴリズムの開発もほぼ完了したため。
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今後の研究の推進方策 |
試作機を用いて実サンプルを測定し、既存の分光装置を用いた場合に比べて効率的に器差補正が可能かどうかを検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
複眼化装置試作費用が想定を大幅に上回ると想定されたため、1,300千円の前倒し支払請求を行った。試作費用の想定額と実費に若干の差があり、その分が次年度使用額となった。
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