研究課題/領域番号 |
22K05933
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
岡 真理子 鳥取大学, 農学部, 准教授 (20324999)
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研究分担者 |
宮本 健助 大阪公立大学, 国際基幹教育機構, 客員研究員 (10209942)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | オーキシン極性移動 / カルシウム / 黄化エンドウ芽生え |
研究実績の概要 |
微小重力環境下で育てたエンドウのオーキシン極性移動能は低下し、傾斜成長をする。また、カルシウムインジケーターであるFluo-8を用いて蛍光を観察したところ、いずれの処理区においても導管付近と表皮で蛍光が認められ、オーキシン排出関連タンパク質であるPsPIN1が局在しているのと同様の組織にカルシウムが蓄積することが明らかとなった。重力応答変異体であるageotropumにおいては、カルシウム含有量、オーキシン極性移動能のいずれも重力応答が正常であるAlaska品種と比較して低下しており、このことからもカルシウムがオーキシン極性移動を調節している可能性が示された。 重力が細胞骨格の動態に影響を与えることが報告されていることから、細胞骨格の変化によるカルシウムの動態とオーキシン極性移動への影響を明らかにするために、微小管重合阻害剤のオリザリンあるいはアクチン重合阻害剤のサイトカラシン存在下で発芽、生育させた黄化エンドウ芽生え(品種:Alaska)のカルシウム含有量とオーキシン極性移動能を調べた。オリザリンを処理した黄化エンドウ芽生えの地上部のカルシウム含有量は、コントロールと同程度であったが、サイトカラシンを処理した場合は、カルシウム含有量が減少した。また、オリザリンを処理した黄化エンドウ芽生えのオーキシン極性移動能はコントロールと同程度であったが、サイトカラシンを処理した黄化エンドウのオーキシン極性移動能は低下する傾向が認められた。これらの結果から、アクチンの重合が、カルシウム動態およびオーキシン極性移動に影響することが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
PsPINの局在の経時変化を調べるために、PsPINに蛍光タンパク質を接続させた形質転換エンドウを作出する予定であるが、形質転換植物の作成に手間取ってい る。
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今後の研究の推進方策 |
PsPINに蛍光タンパク質を接続させた形質転換エンドウの作出は引き続き行う予定ではあるが、それと並行して、カルシウムチャネル阻害剤やカルシウムキレート剤を処理したときのPsPINの局在を免疫染色でも観察する予定である。アクチン重合阻害剤により、カルシウム含量が減少し、オーキシン極性移動能が低下したことから、カルシウムチャネル阻害剤GdCl3、カルシウムキレート剤EGTA存在下や擬似微小重力環境下で、オーキシン極性移動が低下した黄化エンドウ芽生えにおいて、アクチン骨格の変化を調べ、細胞骨格の変化、カルシウムの動態およびオーキシン極性移動にどのような関係性が認められるかを明らかにする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品の購入を翌年度に回したため、36,300円のわずかな残額が生じたが、概ね予定通りに使用しており、令和5年度の残予算で今年度に使用する物品を購入する予定である。
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