研究課題/領域番号 |
22K05937
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研究機関 | 滋賀県立大学 |
研究代表者 |
入江 俊一 滋賀県立大学, 環境科学部, 教授 (30336721)
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研究分担者 |
中川 敏法 滋賀県立大学, 環境科学部, 講師 (00734261)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 白色腐朽菌 |
研究実績の概要 |
6月から8月にかけてクズ葉を回収し、ヒラタケ野生型株およびΔAreA株を用いた大規模発酵処理試験を行った。しかし、約8割程度の処理区において雑菌のコンタミネーションが発生したため試験を中断した。オートクレーブの条件を121度、60分から121度、120分に変更して再試験を行ったが、結果は変わらなかった。今回の培養のために準備した培養袋に問題がある可能性があるため、通気性フィルターの部分などを改良する予定である。また、滅菌条件を再検討する。 本研究では、分子育種技術開発が進んでいるヒラタケを主な供試菌株として使用しているが、過去の解析からシイタケも有望な供試菌になる可能性が示されている。シイタケを供試菌として使用するためには、まず分子育種技術の開発が必要となる。昨年度、本研究においてCRISPR/Cas9カセットを持つCas9ベクターの一時的導入による遺伝子ターゲティング系(相同組換えによる遺伝子破壊系)を開発した。本年度は遺伝子ターゲティングにより標的遺伝子と置換される選択マーカー遺伝子にリサイクリングマーカーを使い、組換えの痕跡を残さない遺伝子破壊系をシイタケで実現した。また、CRISPR/Cas9において危惧されているオフターゲット効果を低減するための技術の一つとしてD10A変異によりニッカーゼ化したCas9を用いたダブルニッキング法の適用性について検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
実用化につなげるためにはクズ葉の大量発酵処理が不可欠だが、少量培養では観察されなかった雑菌のコンタミネーションが発生している。大型固形物のオートクレーブにおいて内部温度の上昇が遅れる事はよく知られていることであるが、きのこ菌床などの他の例からしても十分な条件を試しているはずなのに問題は続いている。培養袋の問題など他の可能についても検討している。シイタケの分子育種技術の開発については順調である。
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今後の研究の推進方策 |
培養袋の改良を行う。また、γ線殺菌などの滅菌方法についても検討する。分子育種については、シイタケにおいて組換えの痕跡を残さないΔAreA株の取得などを行う。また、新規育種ターゲット遺伝子の検索も継続して行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
大量発酵処理方法の確立が遅れているため、その成果物としての飼料を用いた動物実験も遅延している。そのため、当初予定していた予算の執行ができていない場合がある。
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