研究課題/領域番号 |
22K05950
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山崎 安子 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 研究員 (70867077)
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研究分担者 |
山崎 渉 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 教授 (70393262)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | アフリカ豚熱 / オンサイト診断 / ASF / POCT |
研究実績の概要 |
本研究では、研究代表者らが独自に開発した牛伝染性リンパ腫ウイルス(BLV)診断システムを初めてアフリカ豚熱ウイルス(ASF)に応用し、感染個体のオンサイト診断や野生イボイノシシ・水を含む環境サンプル中からの高感度・迅速ウイルス検出を実現することにより、ASF発生国での早期封じ込めを可能とし、世界の食肉の安定供給へ貢献することを目的としている。 2022年度はベトナムにおいて、ベトナム国立農業大学の協力のもと、ASFの迅速かつ高感度なポイントオブケア検査(POCT)を開発した。このPOCTは、豚の全血を用いて、DNA抽出開始から最終判定まで最大50分で完了する。高価な設備や機器は不要であり、電池式の卓上遠心機およびヒートブロックを使用するため極めて低コストで実施できる。豚全血89検体について評価したところ、従来のリアルタイムPCR法と比較して、検出感度は10倍低下したものの、診断的感度は100%(56/56)、診断的特異度は100%(33/33)と同等であった。 2023年度は、開発したPOCTをさらに応用し、ウイルス濃縮という観点からより向上した検出診断法を開発する。その上で、水などの環境サンプルからASFの検出が可能であるかを東南アジアにて調査する予定である。 さらに2024年度については、アジアで流行しているASFだけでなくASF常在国であるアフリカのタンザニアのASFについても、同様に開発したPOCTを活用できるかの実証実験を行う計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定どおりに、研究代表者らが独自に開発した牛伝染性リンパ腫ウイルス(BLV)診断システムを2022年度に初めてアフリカ豚熱ウイルス(ASF)に応用し、ASFの迅速かつ高感度なポイントオブケア検査(POCT)を開発し、ベトナムの臨床サンプル(豚の全血液)にて性能評価した。以上は国際学術専門誌に掲載された。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、ウイルス濃縮方法を開発し、ベトナムのASF発生農場の環境水などからASFVが検出可能かどうかの評価を行うとともに、アジアで流行しているASFだけでなくASF常在国であるアフリカのタンザニアの臨床サンプルや環境サンプルからASFVが検出できるかの評価を行う計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症による渡航制限等により、2022年度初頭はベトナム国立農業大学との共同研究は主にオンラインによる打ち合わせや調整のみとなったため、ベトナム渡航のための費用が支出されなかった。2023年になり、両国間の渡航が可能になった。相互渡航や試薬の搬送等により、2022年に支出されなかった部分は順次、支出する見込みである。
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