研究課題/領域番号 |
22K05961
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研究機関 | 日本獣医生命科学大学 |
研究代表者 |
中尾 暢宏 日本獣医生命科学大学, 応用生命科学部, 准教授 (60377794)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ニワトリ胚 / 胚発生 |
研究実績の概要 |
多くの鳥類の種卵は、適切な温度管理により胚の発生を停止、再開できる長期保存機構を備えている。この長期保存機構には、細胞周期や細胞分化の停止が考えられるが詳細な分子メカニズムは不明である。申請者はニワトリ胚の長期保存機構に着目し、ニワトリ胚は臓器が形成されていても発生の停止と再開できるメカニズムが存在し、発生を自由に制御できること、網羅的遺伝子発現解析および機能解析よりGene Xは、ニワトリ胚の発生の再開を制御する分子であることを見出した。一方で発生の停止を維持できるのは、発生の停止下において細胞や組織、臓器の機能を維持する因子とメカニズムが存在しているという疑問が生じた。そこで、本研究では、ニワトリ胚の発生停止下で発生や細胞、臓器の機能を維持する因子の同定とその因子が発生の制御のみならず、組織や臓器の維持に応用できるのかを明らかにすることを目的とし、ニワトリ胚の発生停止下で発生を維持できる機構ついて、本年度は、mRNA-seqより得られた遺伝子群より、Ⅰ. 発生停止(遅延)下で増加する遺伝子の検索、Ⅱ. 発生停止(遅延)下で増加するタンパク質の発現部位の同定について検討を行った。その結果、I. により発生停止中に増加する遺伝子の経時的な発現解析を行ったところ、2つの遺伝子が発生停止中に発現増加していることが明らかとなった。Ⅱ. においては、まずニワトリ胚全体でタンパク質の発現様式が観察できるかを胚の深部まで観察できるLightSheet 顕微鏡を用いて検討したところ、観察するための透明化の条件設定、および胚全体の染色に成功し胚の深部のタンパク質を検出することができた。来年度に確立した胚内部までの検出系を用いてⅠ.で明らかになった遺伝子について検討をおこなう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
体調を崩してしまい数ヶ月の療養期間が必要となったため、実験計画Ⅱについて条件検討はできたものの、解析を実行することはできなかった。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、令和4年度に引き続き実験計画Ⅱを実施し終了させる。さらに、引き続き令和5年度の実施計画 Ⅲ. 発生停止に関与する遺伝子の機能解析を遂行する。
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次年度使用額が生じた理由 |
体調を崩してしまい数ヶ月の療養期間が必要となったため、実験計画Ⅱについて条件検討はできたものの、解析を実行することはできなかった。R4年度に実験計画Ⅱの系の立ち上げが成功しているので、今後の解析には支障はないと考えている。R5年度に引き続きⅡ. 発生停止(遅延)下で増加するタンパク質の発現部位の同定について検討を行う。次年度使用額は、タンパク質の発現部位の同定に必要な特異的な抗体を購入する予定である。
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