研究課題/領域番号 |
22K05964
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
唄 花子 北海道大学, 農学研究院, 助教 (60775443)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ウシ / 子宮 / インターフェロン誘導性遺伝子 |
研究実績の概要 |
本申請課題研究では、ウシの妊娠率の向上に向けて、受精卵(胚)と母体子宮の相互作用を明らかにするための基礎知見を得ることを目的としていた。哺乳動物の妊娠の成立に必要な共通項として、I型インターフェロンにより着床期子宮内に誘導されるインターフェロン誘導性遺伝子(ISGs)に着目して、その機能解析を行うこととした。具体的には、① ISG発現が子宮内膜上皮細胞に及ぼす影響の解析 ②細胞外からの子宮細胞へのISGの作用の解析 ③ ストレス応答経路への関与を検証することとした。本年度の研究計画では、①で挙げた、ISG発現が子宮細胞に及ぼす影響の解析に取り組んだ。 これまでに、ヒトやウシを含む様々な哺乳動物の着床期の子宮内膜細胞において、ISGsの発現が誘導されることは知られていたが、単にインターフェロン感作のマーカーとして用いられているにとどまっており、その発現解析についても遺伝子レベルでの網羅的発現解析にとどまっていた。本研究では、ウシの子宮内膜上皮細胞と、妊娠認識物質であるIFNTを用いて感作実験を行い、タンパク質レベルで子宮内膜細胞に発現誘導されるISGsを明らかにし、いくつかの新規ISGs候補に着目していた。新規ISGsの中でも、特に重要と思われた候補ISGについては、発現ベクターの構築および組換え体を用いた添加実験を行った。構築した発現ベクターの細胞への導入は、導入効率が悪いため現在検討中である。組換え体を用いた添加実験では、ISG添加による細胞増殖性の向上や遺伝子発現変化を解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究では、新規ISGs候補の機能解析を見出す開始することができた。遺伝子導入については検討中であるが、代わりに組換え体を用いた実験を進めており、進捗状況は概ね想定の範囲内であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、現在検討中の遺伝子導入について検討を続けていくとともに、順調に進めている添加実験を中心に検証していく予定である。研究計画を変更しなければならないほどの問題は生じておらず、変更は現在考えていない。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験試薬や消耗品等を節約して使用したため残額が生じた。また学会がオンラインにより旅費が一部掛からずに済んだ。これらについては翌年の実験試薬や消耗品費として使用予定である。
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