| 研究実績の概要 |
先行研究により同定された脂肪交雑QTL候補領域(7番染色体10-30Mbp)について、ゲノムリシーケンスにより検出された全127,090個の多型から、遺伝子の機能を考慮し選出した96SNPについて、宮崎県529頭を用いて集積流体回路による遺伝子型判定を行い、各SNPの脂肪交雑基準値(BMS)に対する効果の検証を行った。有意水準(p = 0.05)を下回ったSNPは7個存在し、それらは7個の遺伝子に属する多型であった。最も低いp値を示したのはICAM1遺伝子のmissense多型(SNP37_ICAM1)であった(p=3.33E-4)。65SNPの遺伝子型より、Haploviewを用いてLDブロック図を作成したところ、候補領域は0.3Mbp(15.8-16.1Mbp)にまで大幅に絞られた。そこであらためて宮崎県集団でゲノムリシーケンス解析を行い、候補領域内の全多型1846SNPを検出した。そのうちannotation-impactがmoderate以上である13SNPを候補多型として選出した。それらに対してBMSとの関連を分散分析によって算出したところ、特にp値の低かった多型(p<0.001)は5SNPあり、いずれもICAMファミリー遺伝子(ICAM1, ICAM3, ICAM5)に存在する多型であった。ICAM(Intercellular Adhesion Molecule)は免疫グロブリンスーパーファミリーに属しており、細胞同士あるいは細胞と細胞外マトリックスの接着因子として知られている。近年の研究において、ICAMが脂肪細胞への分化過程で特徴的な発現が見られることや、脂肪細胞分化を促進させるMAPK経路を活性化させることが報告されている。以上のことから、ICAMが脂肪交雑の原因遺伝子である可能性が高いと考えられた。
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