研究課題/領域番号 |
22K05998
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
森松 正美 北海道大学, 獣医学研究院, 教授 (70241370)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | NFkB / BRCA2 / 乳腺腫瘍 |
研究実績の概要 |
NFkB (nuclear factor kappa B)は、ほとんどすべての細胞に存在するタンパク質複合体の転写因子ファミリーであり、炎症性サイトカインやDNA損傷ストレス等の刺激により活性化されて標的タンパク質の発現を促進または抑制する。標的遺伝子は多岐 にわたって機能し、炎症反応や細胞増殖、腫瘍形成などの多彩な生命現象と密接に関係する。本研究の目的は、新規の遺伝子改変マウスを作製して新しいモデル動物を確立するとともに、イヌの乳腺腫瘍細胞株や症例を解析して乳腺腫瘍の発症機構を解明することとした。特に、研究代表者らが過去に発見し、最近、がん関連遺伝子の候補として注目されているNFKBIZや、NFkB標的遺伝子群の発現量を変化させるがん抑制遺伝子であるBRCA2に焦点を当てた。 NFKBIZの癌関連遺伝子としての役割をin vivoで解明するため、新規の遺伝子改変マウスの開発を試みた。今年度は、新規マウス開発のためのベクター等の準備と、代表者らが以前に開発した同遺伝子改変マウスの固体化準備を行なった。 イヌの乳腺腫瘍におけるNFKB情報伝達系の役割、特にBRCA2発現への影響を調べることを試みた。今年度は、各種のイヌ乳腺腫瘍細胞株の性状を、BRCA2発現や、それに結合するDNA損傷修復組換え酵素であるRad51の発現解析を中心に行なった。解析した6種の細胞株でBRCA2のプロモーター配列変異や発現量の違い等が明らかになった。今年度の解析では、発現量に影響するプロモーター変異は特定できなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
参考にした先行研究報告論文の記載通りの条件で遺伝子発現解析を行なったところ、結果の再現性が思わしくなく、実験条件を再検討するために時間を要したり、新型コロナウイルス感染症の影響等で研究協力者との打ち合わせや実験の準備、実験の実施が思ったとおりに進められなかったことが主な原因だと考えています。
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今後の研究の推進方策 |
NFKBIZの癌関連遺伝子としての役割をin vivoで解明するため、新規の遺伝子改変マウスの開発を進める。ゲノム編集により新規系統の樹立を試みる。 イヌ乳腺腫瘍細胞株や症例を対象としてNFkB情報伝達系関連ぶんし、特にNFKBIZの発現や変異を解析するとともに、細胞株に変異を導入して細胞増殖やBRCA2発現への影響を調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
現在までの進捗状況に記載した理由により、研究が予定よりも遅れていて使用額が予定よりも少なかったため、次年度使用額が生じた。 遅れて未実施だった実験を行うために次年度使用額を、当初から予定していた翌年度の実験のための支出予定額と合わせて使用する計画である。
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