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2022 年度 実施状況報告書

難治性疼痛に対する治療ターゲットとしての侵害受容チャネルの機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 22K06001
研究機関鳥取大学

研究代表者

太田 利男  鳥取大学, 農学部, 教授 (20176895)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード疼痛
研究実績の概要

本研究の目的は、侵害受容体として重要な役割を果たしている一過性受容体電位(TRP)チャネルに着目し、チャネルの制御メカニズムを明らかにすると共に、病態痛に対する疼痛制御法や新規鎮痛薬候補となる化合物を検索することである。本年度は新規鎮痛薬としての候補物質の探索のため、植物由来精油成分によるTRPチャネル及び神経分泌に影響を与える電位依存性Caチャネルに対する作用について検討した。マウスより摘出した知覚神経細胞及び各種侵害受容性TRPチャネル遺伝子を導入した細胞を用いて、モノテルペンアルコールであるリナロール(LL)による作用について調べた。チャネル活性はTRPチャネルが高いCaイオン透過性を有していることから蛍光色素による細胞内Ca動態解析を行った。一部の実験では、チャネル活性を膜電位固定法によるパッチクランプ法により行った。その結果、LLは知覚神経細胞に発現している電位依存性Naチャネルに比べて、電位依存性Caチャネル電流を強く抑制することが分かった。更に、LLはTRPA1アゴニストによる細胞内Ca増加反応(チャネル活性)を強く抑制したが、TRPV1アゴニストによる反応に対してはわずかな影響しか与えなかった。TRPA1アゴニストのマウス個体への適用により生じた痛み行動をLLは濃度依存性に減弱させた。これらの成績により、植物由来化合物に新たな鎮痛作用を有するものが存在することが明らかになり、新規鎮痛薬のリード化合物としての有用性が示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

侵害受容チャネルに作用する新たな化合物の検索、およびその作用機序について明らかにすることが出来たため。

今後の研究の推進方策

他の植物由来物質についても侵害受容チャネルへの影響について、細胞内Caイメージング法やパッチクランプ法を用いて検討していく。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Inhibitory effects of linalool, an essential oil component of Lavender, on nociceptive TRPA1 and voltage-gated Ca2+ channels in mouse sensory neurons2023

    • 著者名/発表者名
      Hashimoto M, Takahashi K, Ohta T
    • 雑誌名

      Biochemistry and Biophysics Reports

      巻: 34 ページ: 101468

    • DOI

      10.1016/j.bbrep.2023.101468

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Functional analysis of thermo-sensitive TRPV1 in an aquatic vertebrate, masu salmon ( Oncorhynchus masou ishikawae)2022

    • 著者名/発表者名
      Yoshimura A, Saito S, Saito C, Takahashi K, Tominaga M, Ohta T
    • 雑誌名

      Biochemistry and Biophysics Reports

      巻: 31 ページ: 101315

    • DOI

      10.1016/j.bbrep.2022.101315

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Evolutionary tuning of TRPA1 underlies the variation in heat avoidance behaviors among frog species inhabiting diverse thermal niches2022

    • 著者名/発表者名
      Saito S, Saito CT, Igawa T, Takeda N, Komaki S, Ohta T, Tominaga M
    • 雑誌名

      Molecular Biology and Evolution

      巻: 39 ページ: 1-18

    • DOI

      10.1093/molbev/msac180

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] ラベンダー精油成分リナロールによる侵害受容性TRPA1チャネルと電位依存性カルシウムチャネルに対する抑制作用2022

    • 著者名/発表者名
      橋本美穂、高橋賢次、太田利男
    • 学会等名
      第96回日本薬理学会年会/第43回日本臨床薬理学会学術総会
  • [学会発表] 抗真菌薬による有害作用における侵害受容性TRPA1チャネルの関与2022

    • 著者名/発表者名
      岡部 省太、糟谷 薫、高橋 賢次、太田 利男
    • 学会等名
      第165回日本獣医学会学術集会

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公開日: 2023-12-25  

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