研究課題/領域番号 |
22K06010
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
田島 一樹 北里大学, 獣医学部, 講師 (50770393)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 脱細胞化 |
研究実績の概要 |
深部角膜潰瘍の治療や瘢痕化した角膜を透明にするための治療法は角膜移植のみである。しかし、犬や猫をターゲットとした獣医療においてはドナーがおらず、移植用角膜の入手は大変困難である。そのため、ドナー不足を解消するために、脱細胞化という技術を用いて人工角膜を作成することを目的に研究を継続している。 犬の角膜を入手する機会は稀であり、運良く入手できた際には細胞の分離・培養を適宜行い、in vitroの実験を実施している。現時点で犬の角膜上皮細胞や角膜内皮細胞といった細胞の培養をした報告はほとんどないが、研究代表者が確立した方法で安定的に培養可能であることが確認できている。また、細胞の免疫染色や遺伝子発現解析を行い、培養した細胞がそれぞれ目的の細胞であることを確認済みである。現在、角膜内皮細胞を実験に供しやすいよう不死化を行い、実験に用いている。本細胞の細胞形態、遺伝子学的特徴、免疫染色による解析によって性質を細かく確認し、今後の実験に供する予定である。 また、ウサギを用いた脱細胞か角膜の移植の実験を行い、その生着や透明性の評価を確認している。ウサギへの角膜移植は、ウサギの長時間の麻酔に加え、手術手技が困難であるが、確実に症例数を増加させることができている。 今後、得られたサンプルの組織解析を行う。HE染色や免疫染色によって、角膜混濁の原因や生着の要因、角膜実質細胞の移植片への遊走などを確認し、そのデータから、脱細胞化角膜の保存方法を検討していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脱細胞化角膜をウサギに移植を行い、生体の透明性評価を行うことが可能となっているが、まだ免疫染色等による評価ができていない。一方でセルラインの確立によってin vitorの実験は進行している。
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今後の研究の推進方策 |
これからウサギへの移植後の組織解析を行い、角膜混濁を生じるメカニズムを探る。また、さらにそのメカニズムに合わせた移植後の透明性維持に向けた治療等を検討する。 また、脱細胞化角膜の保存方法を検討していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に実体顕微鏡が故障し、研究にやや滞りが生じた。また、3月に学会に参加しているが、その旅費分がまだ計上されていないことによる。差額は大きくなく、早期から実験を実施し、差額の解消を行う予定である。
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