研究実績の概要 |
これまでの研究で,増殖制限(不全)型ウイルスであるAb4p UL11G2AC7AC9AがマウスにおけるEHV-1による致死性脳炎をほぼ完全に防御するワクチンとして有効であることを明らかにした。本研究では,さらに解析を進め,ワクチンとして接種後,どれくらいの期間で感染ないし発症予防能が動物に付与されるか(ワクチン効果の即効性)を明らかにするとともに,ワクチンマーカーとして非必須タンパク質であるgGの発現欠損変異をAb4p UL11G2AC7AC9Aに加え,その感染防御能を明らかにすることを目的としている。 今年度は,Ab4p UL11G2AC7AC9Aを免疫したマウスにおけるワクチン効果の即効性を解析するとともに,Ab4p UL11G2AC7AC9AウイルスへのgG発現欠損変異の導入を行なった。 Ab4p UL11G2AC7AC9Aワクチンにおける即効性を評価する実験では,増殖制限型ウイルスワクチンを経鼻接種後,2, 3, 4, 5日目にzebra-borne EHV-1を経鼻接種し,2週間観察を行うことにより,即効性発症予防能を検討した。その結果,ワクチン接種後4ないし5日目の攻撃では,マウスはほとんど発症せず,EHV-1感染による発症が抑えられることがわかった。 gG発現欠損変異導入では,pAb4p UL11G2AC7AC9A BACおよびpAb4p BAC(親株のBACクローン)において,gG遺伝子の開始コドンを終止コドンに改変したBACクローンを得た。 以上の結果から,増殖制限型ウイルスワクチンはワクチン接種後,早期からウイルス発症を抑制する能力を動物に付与することが示唆された。今後,即効性感染予防能の解析をさらに進めるとともに,マーカー(gG発現欠損)導入ウイルスを用いて同様の実験を行う予定である。
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