研究課題/領域番号 |
22K06040
|
研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
鈴木 敦 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 准教授 (60467058)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 始原生殖細胞 / 精巣テラトーマ / 腫瘍幹細胞 |
研究実績の概要 |
2022年度においては、EC細胞の新規マーカーとして同定したCAR4を指標として、CAR4陽性細胞をセルソーターによって回収したのちに、naive ES細胞培地である2i/LIFとprimed EpiLC培地であるAF培地で培養し、コロニーの数を比較した。その結果、AF培地で培養した方が、2i/LIF培地で培養した場合より優位にコロニー数が多く、CAR4陽性のEC細胞はprime型の多能性細胞であることが示唆された。 一方で、CAR4の発現を誘導する転写因子を探索するために、CAR4を発現する前の細胞集団を同定することを試みた。そのために、single cell RNA-seqのデータを用いてvelocity解析を行ったところ、CAR4陽性細胞集団へと分化が向かう細胞集団を見出すことができなかった。そこで、single cell ATAC-seqにより、クロマチン状態の解析を行うと、始原生殖細胞からCAR4陽性のEC細胞への遷移状態にある細胞集団を特定することができた。これの意味するところは、EC細胞への転換に際して、クロマチン状態は徐々に変化するが、トランスクリプトームはある段階に達すると急激に変化するということだと考えられる。そこで、このデータをsingle cell RNA-seqのデータと統合することで、EC細胞への遷移状態の細胞集団において高発現する転写因子を4つ同定することができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
EC細胞は多能性であることが分かっていたが、その能力については明らかになっていなかった。今回の解析により、prime型であることを明らかにできた。また、single cell ATAC-seqのデータを用いてCAR4の発現を誘導する転写因子の候補を4つ同定できたことも、当初の計画通りである。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、CAR4を発現するEC細胞のエピジェネティックな修飾の解析を行うことで、新生EC細胞のより詳細な性質を明らかにする予定である。また、同定した転写因子を欠損するマウス個体を作成し、EC細胞の発生に必須な因子であるかどうかを解析する予定である。
|