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2022 年度 実施状況報告書

スプライシングバリアントの探索を基盤とした、NURPとNMUの生理的役割の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K06045
研究機関宮崎大学

研究代表者

丸山 圭介  宮崎大学, 農学部, 准教授 (20612386)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード新規ペプチドホルモン / ニューロメジンU関連ペプチド / ニューロメジンU
研究実績の概要

本年度は、雌ラットの生殖内分泌機構におけるNURP/NMU前駆体ペプチドの役割を探ることとした。まず、発情後期の雌ラットの側脳室へNURPを投与して、その後の血中プロラクチン(PRL)濃度の変化を調べた。その結果、NURP投与によって、PRL分泌の著しい上昇が観察された。この結果は、これまでの研究結果と同様であり、再現性が確認されたといえる。次に、雄ラットに同様の投与実験を行い、先の雌ラットの結果と比較した。その結果、雌ラットにおけるPRL分泌促進作用は雄よりも強いことが判明した。
そこで、雌雄におけるNURPの作用強度の違いに、内因性エストロゲンが関係しているのか否かを検証するため、卵巣摘出処置(OVX)を施したラットにNURPを側脳室投与し、その後の血中PRL濃度の変化を調べた。ところが、OVXラットにおいては、NURPによるPRL分泌促進は認められなかった。
次の実験では、性周期や妊娠といった血中プロラクチン(PRL)濃度が変化するような生殖内分泌的イベントが起こった際に、内因的なNURP/NMUが本当に発現変化しているのか、リアルタイムPCR法により調べた。本実験には、二峰性のPRLサージが観察される偽妊娠ラットを用いた。本実験もこれまでに予備的な検討を進めていたものであり、今回、より詳細に調べるとともに実験の再現性を確認することとした。その結果、血中PRL濃度が上昇し始めた午前3:00になるとNURP/NMU mRNAの発現が有意に低下し、血中PRL濃度のピークとなる午前6:00まで、通常の半分程度の発現量になっていた。その後、血中PRL濃度がベース値に戻った午前9:00には、NURP/NMU mRNA 発現も元に戻った。この結果はこれまでの検討と同様であり、NURP/NMU mRNA 発現の低下が血中PRL濃度の減少を誘起している可能性があることが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

概要の項目において述べた通り、本年度、雌ラットにおいてNURPがPRL分泌を強力に促進すること、NURPの作用強度には雌雄ラットにおいて違いがあること、OVXラットにおいてNURPが作用しないことを明らかにした。一方で、偽妊娠ラットの生理的なPRL濃度の上昇が観察される時間帯、NMU/NURP mRNAの発現は減少していることが明らかとなった。これは、偽妊娠ラットにおけるPRL分泌は、NURPによるものでは無く、むしろNMUの発現低下が原因である可能性を示している。これらの結果は、「NURPとNMUがどのように分泌され、どのような生理的役割を担っているのか?」という疑問を解決するうえで、重要な情報となる。

今後の研究の推進方策

雌ラットの生殖内分泌機構におけるNURP/NMU前駆体ペプチドの役割の解明を継続する。特に、ラットの性周期におけるNURP/NMU前駆体ペプチドの発現変動、作用強度の変化を調べる。また、NURP、NMU発現ニューロンの形態学的解析も実施する。両ペプチドホルモンに対する特異的抗体を用いて、NURP発現ニューロン、NMU発現ニューロンをそれぞれ免疫組織化学的手法により、可視化する予定である。

次年度使用額が生じた理由

本年度は雌ラットのPRL分泌におけるNURP投与の影響の解明、偽妊娠ラットのPRL分泌におけるNMU/NURP mRNAの発現解析を中心に実施し、NURP、NMU発現ニューロンの形態学的な解析は次年度に実施することとしたため、この分の予算を残した。次年度に繰り越した分は、形態学的解析に必要な消耗品類の購入に使用する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Distribution of neuromedin U (NMU)-like immunoreactivity in the goldfish brain, and effect of intracerebroventricular administration of NMU on emotional behavior in goldfish2022

    • 著者名/発表者名
      Matsuda Kouhei、Watanabe Keisuke、Miyagawa Yoshiki、Maruyama Keisuke、Konno Norifumi、Nakamachi Tomoya
    • 雑誌名

      Peptides

      巻: 156 ページ: 170846~170846

    • DOI

      10.1016/j.peptides.2022.170846

    • 査読あり
  • [学会発表] ラットにおける走行運動と摂食行動の両報酬系の相反的調節の特性について2022

    • 著者名/発表者名
      松田玖瑠実、丸山圭介、村上昇、中原桂子
    • 学会等名
      第165回日本獣医学会学術集会

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公開日: 2023-12-25  

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