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2023 年度 実施状況報告書

栄養源シグナルに応答したmR N AのポリA鎖長の調節機構とその生理的役割

研究課題

研究課題/領域番号 22K06074
研究機関筑波大学

研究代表者

入江 賢児  筑波大学, 医学医療系, 教授 (90232628)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード酵母 / mRNA / Ccr4-Not複合体 / Ccr4 / Puf5 / 細胞周期
研究実績の概要

本研究計画では、出芽酵母を用いて、栄養リッチなシグナルおよび栄養飢餓のシグナルによる酵母の増殖制御をRNAレベルで調節する系を用いて解析する。Ccr4-Not複合体とPan2-Pan3複合体は、細胞質における主要なmRNAのポリA鎖分解酵素(デアデニラーゼ)であり、mRNAの分解に働いている。ccr4Δとccr4Δpan2Δ 二重変異株は、YPD 培地において野生型株と比較して増殖が悪く、非発酵性炭素源であるグリセロールと乳酸を含むYPGlyLac培地ではさらに増殖遅延がより顕著になる。ccr4Δpan2Δ二重変異株の増殖遅延を抑制するマルチコピーサプレッサーとして3’-5’ エキソヌクレアーゼをコードするREX2 遺伝子を同定した。REX2 遺伝子には類似の遺伝子REX1, 3, 4がある。rex1Δrex2Δ二重変異はccr4Δpan2Δ 二重変異株の増殖遅延をさらに悪化させた。以上の結果から、REX1 、REX2 遺伝子がCCR4 、PAN2 遺伝子と重複した機能をもつことが示唆された。
また、RNA結合タンパク質であるPuf5についても解析した。puf5Δ clb2Δ変異株が単独変異株よりも極端な増殖遅延を示す結果をきっかけに、Puf5がIXR1 mRNAの制御を介して、サイクリンBをコードするCLB1遺伝子の細胞周期特異的な発現を制御することを明らかにした。さらに、puf5Δ clb5Δ clb6Δ三重変異株も極端な増殖遅延を示すことを見出した。解析の結果、Puf5がIXR1 mRNAの制御を介して、CLB1遺伝子の発現だけでなく、CLB2遺伝子の発現も制御することを見出した。これらの結果を元に、Puf5とIxr1によるCLB1, CLB2の発現制御の意義を考察した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究計画では、出芽酵母を用いて、栄養リッチなシグナルおよび栄養飢餓のシグナルによる酵母の増殖制御をRNAレベルで調節する系を用いて解析する。この研究では、5つのテーマ、(1) 栄養源からのシグナルによるCcr4-Not複合体の活性調節機構、(2) Pan2-Pan3複合体、Pbp1によるポリA鎖の長さの調節とその生理的役割、(3) 対数増殖期と定常状態におけるポリA鎖の長さと翻訳効率・mRNA安定性の関係、(4) RNA結合タンパク質Nab6とポリAポリメラーゼPap1による翻訳制御機構、(5) 栄養シグナル、栄養飢餓シグナルによるタンパク質の時空間発現制御におけるCcr4-Not複合体、Pan2-Pan3複合体、Pbp1の働きの全体像をあげているが、全ての因子の変異株、二重変異株等を作製を終えて、栄養条件に応答した各種変異体における遺伝子発現の解析を進めており、全て順調にデータが得られており、Ccr4-Not複合体、Pan2-Pan3複合体、Pbp1の働きを明らかにしつつある。

今後の研究の推進方策

Ccr4-Not複合体による細胞増殖の制御、Pan2-Pan3複合体とPbp1の非発酵性炭素源での増殖機能、Ccr4-Not複合体とPan2-Pan3複合体のリン酸化などから、栄養シグナル、栄養飢餓シグナルによる遺伝子発現の転写後制御の全体像を明らかにする。また、定常状態におけるポリA鎖の長さの重要性について、その制御の一般性、遺伝子特異性について解析する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Automation of yeast spot assays using an affordable liquid handling robot.2023

    • 著者名/発表者名
      Shodai Taguchi, Yasuyuki Suda, Kenji Irie, Haruka Ozaki
    • 雑誌名

      SLAS Technology

      巻: 28 ページ: 55-62

    • DOI

      10.1016/j.slast.2022.12.001.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] RNA結合タンパク質Puf5とHMGBタンパク質Ixr1はCLB1とCLB2遺伝子の細胞周期特異的な発現を制御する2023

    • 著者名/発表者名
      佐藤恵、入江賢児
    • 学会等名
      酵母遺伝学フォーラム第56回研究報告会
  • [学会発表] RNA エキソヌクレアーゼRex1/Rex2 はポリA 鎖分解酵素Ccr4とPan2と重複した機能をもつ2023

    • 著者名/発表者名
      遠藤望実、藤井志織、竹内梨紗、入江賢児
    • 学会等名
      酵母遺伝学フォーラム第56回研究報告会
  • [学会発表] RNA結合タンパク質Puf5による細胞壁関連遺伝子YGP1の発現制御機構2023

    • 著者名/発表者名
      佐藤恵、入江賢児
    • 学会等名
      酵母遺伝学フォーラム第56回研究報告会
  • [学会発表] Rex1/2 exonucleases have a redundant function with Ccr4 and Pan22023

    • 著者名/発表者名
      Kenji Irie, Shiori Fujii, Risa Takeuchi, Nozomi Endo, Kaoru Irie, and Duong Long Duy
    • 学会等名
      第24回日本RNA学会年会

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公開日: 2024-12-25  

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