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2022 年度 実施状況報告書

新規RNAキャップ修飾の機能と生合成機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 22K06077
研究機関東京大学

研究代表者

大平 高之  東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (90727520)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードRNA / キャップ修飾 / 出芽酵母 / 遺伝子発現
研究実績の概要

RNAの5'末端に導入されるキャップ修飾は、RNAの細胞内における安定性や局在、タンパク質合成開始の目印、ウィルスRNAとの識別に関わるなど遺伝子発現の調節領域として重要な役割を担う。従って、RNAのキャップ修飾の機能を解明すること、その機能発現に関わる生合成や分解、さらにはこれらの調節機構を詳細に明らかにすることは遺伝子発現の調節機構を理解する上で重要である。
令和4年度は、新規RNAキャップ修飾の機能を明らかにするため、新規RNAキャップ修飾の修飾酵素遺伝子の発現を抑制できる出芽酵母株から調製したTotal RNAを用いて、いくつかのRNAについてノーザンブロット解析を行い、キャップ修飾を抑制したときのRNAの定常状態量への影響を調べた。その結果、新規RNAキャップ修飾を導入されるRNAはキャップ修飾の抑制により定常状態量が若干減少していることが確認された。一方で、新規RNAキャップ修飾を導入されないRNAでは定常状態量に変化は見られなかった。この結果は、新規RNAキャップ修飾がRNAの細胞内における安定性に寄与していることを示唆する。さらに、新規RNAキャップ修飾を持つRNAを網羅的に探索するため、新規RNAキャップ修飾を持つRNAのcDNAライブラリの調製を試みた。しかしながら、cDNAライブラリを調製する過程で、新規RNAキャップ修飾を持つRNAのみが大幅に減少していることが判明した。解析の結果、新規RNAキャップ修飾の構造が原因であることが分かり、cDNAライブラリの構築方法を検討し直すこととなった。現在、新たに考案したcDNAライブラリの調製方法について条件検討を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

研究計画では、RNA-seqにより新規RNAキャップ修飾を持つRNAを網羅的に探索することを予定していたが、cDNAライブラリの調製過程で、新規RNAキャップ修飾をもつRNAのみが特異的に失われていることが分かり、cDNAライブラリの調製方法を見直す必要が生じた。しかしながら、実験的にその原因を特定することができたので、代替案により本実験は継続できると判断された。一方で、新規RNAキャップ修飾がRNAの安定性に関わることが明らかとなり、本研究課題における重要な知見が得られた。以上の状況から達成度は「やや遅れている」と判断した。

今後の研究の推進方策

研究計画に従い、引き続き新規RNAキャップ修飾を持つRNAの網羅的探索を行うため、新たに考案したcDNAライブラリ調製方法の条件検討を行う。条件が定まり次第、様々な生物種や細胞について新規RNAキャップ修飾の網羅的探索を行い、この修飾の普遍性や特異性を明らかにし、既知のキャップ修飾との違いを明確にするとともに、この修飾がRNAの機能や遺伝子発現に与えている影響に関する知見を得ることを目指す。これと並行して、新規RNAキャップ修飾の修飾酵素による基質RNAの認識機構や反応機構についても解析を行い、網羅的探索の結果と併せることで、このキャップ修飾の細胞内における動態や調節に関する知見を得る。

次年度使用額が生じた理由

当初予定していた次世代シーケンサーによる解析を年度内に行うことができなかったため、その実験にかかる費用が次年度使用額として生じた。次年度においては、予定通り、次世代シーケンサーによる解析のための費用として使用する。

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公開日: 2023-12-25  

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