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脆弱X症候群(以下、FXS: Fragile X syndrome)は最も頻度の高い家族性のX連鎖性知的障害であり、自閉症スペクトラム症の遺伝的モデルとしても注目されているトリプレットリピート病である。FXSでは、責任遺伝子FMR1の5’非翻訳領域に存在するCGGリピートが、ある長さを閾値に母性伝播時に一気に伸長する結果、FMR1遺伝子の発現が抑制されることで発症する。この一連のクロマチン動態こそがFXSの発症の根本的病因(CGGリピート動態と呼ぶ)であり、その惹起には少なくともCGGリピート領域が存在しているだけでは不十分であること、そしてリピート周辺の広いゲノム領域が鍵であることが先行研究から示唆されている。本研究では、保因者X染色体由来の「CGGリピート領域ならびにFMR1遺伝子座を包括する染色体領域」を本疾患に関わる「FXS脆弱部位」と定義し、この領域をマウス人工染色体に搭載する工程を進めてきた。標的であるFXS脆弱部位は機能的役割が異なると予想される長短2種類を検討しており、FXS保因者由来のX染色体の改変とCre/loxP部位特異的組換えを利用してマウス人工染色体に搭載する。染色体改変はCre/loxP部位特異的組換えのための事前準備を指し、loxP配列の挿入やFXS脆弱部位下流の不要領域の削除など3工程がある。昨年度はこれらの改変を完了させたものの、Cre/loxP部位特異的組換えによるFXS脆弱部位の搭載の工程で何らかの問題があり成功できなかったが、今年度(最終年度)は、それを克服することができ、短い領域の人工染色体については、目的の搭載クローンを得た。研究全体の進捗は遅れているが、現在、短いものについては動物の作製工程に進むことができたことは大きな前進である。現在も引き続き、本研究計画提案の通り、長い染色体領域の搭載も継続して進めているところである。
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