研究課題/領域番号 |
22K06137
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
保坂 俊彰 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 技師 (40462725)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | VDAC / 大腸菌無細胞合成系 / 複合体 |
研究実績の概要 |
ミトコンドリア外膜に存在するアニオンチャネルvoltage dependent anion channel 1 (VDAC1)は、単体でアニオン輸送を行うだけではなく、種々のタンパク質と複合体を形成し、特異的な性状を発揮することが知られている。その複合体の中にはアポトーシスの原因となるものもある。VDAC1の結晶構造は既知であるが、ヘテロタンパク質との複合体構造は明らかとなっていない。申請者はヒトVDAC1の結晶構造解析を行い、更に相互作用するタンパク質(long non-coding RNA (lncRNA)であるGm9999由来ペプチド(KastorとPolluks)やtranslocator protein(TSPO))との複合体調製に成功している。 本年は、VDAC1とlncRNAキメラタンパク質を大腸菌無細胞合成系による合成・精製し、結晶化を行った。現在、結晶化の経過観察中である。また、TSPOとの相互作用領域を調べるために、VDAC1とTSPOに関して光クロス実験を行った。この実験用に、光反応性の非天然型アミノ酸を、相互作用が予測される部位に導入したタンパク質を複数調製した。現在、TOF-MSを使って相互作用部位の同定を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
結晶化用のVDA1-lncRNAキメラタンパク質や、光クロスリンク実験用の非天然型アミノ酸を導入したタンパク質の調製などは、当初予定通りに終了した。結晶は得られていないが、今後、さらなるスクリーニングを続けていく。光クロスリンク実験による相互作用部位の同定についても、当初の予定通り進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
結晶化スクリーニングとTOF-MSの解析を行うとともに、クライオ電子顕微鏡による構造解析を目指した試料調製に取り組んでいく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
サンプル調製が順調に進んだため、消耗品費の支出が少なかった。今年度は、TOF-MSによる解析を行う計画であることに加えて、クライオ電子顕微鏡による構造解析を行うため、それらのサンプル調製のための消耗品費として使用予定である。
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