研究課題/領域番号 |
22K06146
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
山崎 哲男 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学域), 教授 (90330208)
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研究分担者 |
片山 将一 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学域), 助教 (60779049)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 小胞体 / CLN6 / NCL / 神経セロイドリポフスチン症 |
研究実績の概要 |
神経セロイドリポフスチン症(NCL)は13疾患を内含する神経変性疾患群である。小胞体膜分子CLN6は6型NCLの原因遺伝子産物として同定されたが、その機能は近年まで不明であった。研究代表者はCLN6がタンパク質凝集抑止能を有することを世界に先駆けて見出し、併せてその責任領域を指摘した(BBRC 2017&2020, Biomed Res 2021)。この実績に立脚して提案されたのが本研究課題である。CLN6の凝集抑止能を支える分子メカニズムを解明し、その破綻が神経系の障害に帰結する可能性を検討することを目的に掲げる。令和4年度には、CLN6結合分子としてタンパク質分解酵素カテプシンDを単離・同定したことに加え、(1)同分子がCLN6の第1 および第3ループと相互作用することによって、タンパク質凝集抑止能を発揮し得ること、(2)その際、カテプシンDのプロドメイン構造が維持されている必要があること、を指摘した(論文投稿中)。これまでにも6型NCLの患者の一部でCLN6の第1ループ内のアミノ酸が変異していることが報告されていた。その一方で、同領域が担う生理的役割に関しては情報が皆無と言っても過言ではなく、第1ループの機能・構造異常が病因となり得るのか?そしてその場合の発病メカニズムはどのようなものであるのか?という疑問は解消されずにきた。研究代表者の研究成果はCLN6の第1ループがカテプシンDとの機能連関に要求されること、そして両者のデカップリングに起因する凝集抑止能の低下、それに伴う異常凝集体蓄積が6型NCLの病因となる可能性を提示した。上述した疑問に一定の見解を呈したことに加えて、発症メカニズムの分子論的理解を推進するところとなり、病理学的側面から見てもその重要性は論を俟たない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の目的はCLN6の凝集抑止能を支える分子メカニズムを解明し、その破綻が神経系の障害に帰結する可能性を検討することにある。令和4年度には、CLN6結合分子としてタンパク質分解酵素カテプシンDを単離・同定したことに加え、(1)同分子がCLN6の第1 および第3ループ領域と相互作用することによって、タンパク質凝集抑止能を発揮し得ること、(2)その際、カテプシンDのプロドメイン構造が維持されている必要があること、を見出した(論文投稿中)。CLN6の機能発現様式の分子論的理解を促進したと言える。機能構造解析に加えて、研究代表者はCLN6の機能不全が神経変性に帰結するか否かを検討するために、P19細胞をモデル細胞とする神経分化解析を行った。同分子を欠損させると細胞の分化が極めて早期の段階で停止することを明らかにし、その内容を含んだ論文を執筆中である。投稿中ならびに準備中の論文の根幹を成すデータは本研究課題の目的に叶うものであり、この点を踏まえて、進捗状況としてはほぼ予定通りとした次第である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の推進を図ること、換言すればCLN6の機能不全を背景とする神経疾患の全容を詳にするためには、細胞株P19を用いて得られた知見が、そのまま神経系全体にも当てはまるのか?もしくは神経系に及ぼす影響は中枢と末梢間では異なるのか?との疑問に解答することは不可欠である。そこでゼブラフィッシュをモデル動物として採用し、個体レベルでの解析を追加・展開する予定である。当該動物は胎児期に体が透明なため、他の動物モデルでは極めて困難な早期神経発生の詳細な時空間解析が可能となる。現在、ゲノム編集技術によってゼブラフィッシュCLN6を欠損させ、その表現型を解析中である。今後はCLN6の第1ループにアミノ酸変異を導入したノックインゼブラフィッシュを樹立し、責任領域を絞りこんだうえで病因としての妥当性を検討する予定である。
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