研究課題/領域番号 |
22K06152
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研究機関 | 創価大学 |
研究代表者 |
西原 祥子 創価大学, 糖鎖生命システム融合研究所, 教授 (00164575)
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研究分担者 |
栂谷内 晶 創価大学, 糖鎖生命システム融合研究所, 教授 (60392635)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 多能性幹細胞 / O-GlcNAc修飾 / PSME3 / Pボディ / 液-液相分離 / 多能性維持 |
研究実績の概要 |
マウスES細胞は、胎生3.5日目の内部細胞塊から樹立されたナイーブ状態の多能性幹細胞であり、通常のヒトES細胞は、これより分化が少し進んだプライム状態の多能性幹細胞である。我々は、ナイーブ状態のマウスES細胞の自己複製能・多能性維持に関わる糖鎖の網羅的探索を行い、核と細胞質に存在する唯一の糖鎖修飾であるOGlcNAcが、液-液相分離によって生じるRNA顆粒・Pボディの形成を阻害して、ES細胞の多能性を維持していること見出した。プロテアソーム活性化サブユニット3(PSME3) のO-GlcNAc修飾が、Pボディの恒常性の制御を介してマウスES細胞の多能性を調節するスイッチとして働いていた。本研究では、この新規な事実を、マウスとヒト多能性幹細胞全般へと展開し、液-液相分離を介したO-GlcNAc修飾の多能性幹細胞全般における機能の解明を目的とする。 昨年度は、プライム状態のマウスエピブラスト幹細胞様細胞においても、PSME3がO-GlcNAc修飾されていることを明らかにした。 本年度は、ナイーブ状態のヒトES細胞におけるPSME3のO-GlcNAc修飾の有無を明らかにため、異なる2種のヒトES細胞に対して、異なる2種の方法でナイーブ化を試みた。ES細胞によりナイーブ化条件は異なっており、1種のES細胞は両条件で全くナイーブ化ができなかったが、他の1種の細胞では、1種の方法で、ナイーブ状態に類似した形態を示す細胞が得られた。現在、詳細な条件検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一種のES細胞は2つの条件で全くナイーブ化ができなかったが、他の一種の細胞では、1つの方法で、ナイーブ状態に類似した形態を示す細胞が得られており、現在、詳細な条件検討を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、ナイーブなヒトES細胞の誘導条件を確定し、ナイーブ状態のヒトES細胞におけるO-GlcNAc修飾の液-液相分離 (P-ボディ) を介した多能性維持機構の解析を中心に行う。 (1)プロテアソーム活性化サブユニット(PSME3)のO-GlcNAc修飾の検討、(2) PSME3とP-ボディのアセンブリに必要なDEADボックスポリペプチド6(DDX6)などの当該分子との相互作用、当該分子の安定性、P-ボディ形成、多能性維持への関与の検討、(3)ナイーブなヒトES細胞の多能性維持と分化におけるDDX6などの当該分子の安定性と役割の解析などを行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
少額の端数が生じたためゼロとすることができなかったので、翌年分とあわせて使用する。
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