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2022 年度 実施状況報告書

タンパク質単結晶から得られたパルス中性子回折データの積分範囲自動決定法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K06157
研究機関茨城大学

研究代表者

矢野 直峰  茨城大学, フロンティア応用原子科学研究センター, 産学官連携助教 (60724721)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードパルス中性子 / タンパク質 / 中性子結晶構造解析 / 積分範囲自動決定
研究実績の概要

茨城県東海村の大強度陽子加速器施設(J-PARC)に設置されている生命物質構造解析装置(iBIX)は、連続波長パルス中性子を利用し、タンパク質単結晶中の水素原子やプロトンの位置を中性子結晶構造解析で決定することが出来る。この装置で測定された回折斑点の形状と強度は結晶方位と検出器の設置された位置により異なる。現状ではデータ処理ソフトを用いて強度積分を行う時には、各結晶方位において、X軸、Y軸、波長軸方向の積分範囲を34台の検出器毎に目視で確認し、指定しなければならない。ラウエ群がmmmの結晶では、30結晶方位 × 34検出器 = 1020個程度の回折データで積分範囲を決定する必要がある。 積分範囲の決定がデータ処理の律速であり、iBIX利用者の負担になっている。そこで、データ処理の手間とかける時間を減らすために、 本研究では検出器毎に積分範囲を自動的に決定する方法の開発を行なった。計算用のプログラムは自作した。今年度はあるタンパク質の回折データから強度の強い回折斑点を複数選び、X軸、Y軸、波長軸方向それぞれで1次元の強度分布を作成し、積分範囲を決定する方法を検討した。その結果、各逆格子軸の長さと方向を表すUB行列を用いて予想したピーク位置における強度に対する各位置の相対強度から積分範囲を決定する方法は、目視で決定した積分範囲に対して、より近い積分範囲になることが分かった。積分範囲の自動決定につながる方法を確立することが出来た。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度は各回折斑点に対して、目視で決めた積分範囲より広い範囲を定義し、1次元の強度分布を作成した。これらを用いて、X軸、Y軸、波長軸方向の積分範囲を決定するために2つの方法を検討した。① 積分強度に対する誤差の比が最大となるように積分範囲を決定する方法、② UB行列を用いて予想したピーク位置における強度に対して、各位置の相対強度から積分範囲を決定する方法、である。計算用のプログラムは自作した。その結果、UB行列を用いて予想したピーク位置における強度に対して、各位置の相対強度から積分範囲を決定する方法は目視で決定した積分範囲に対して、より近い積分範囲になることが分かった。積分範囲の自動決定につながる方法を確立することが出来た。

今後の研究の推進方策

確立した手順を複数の異なるタンパク質の回折データに適用し、どれくらいの波長範囲に存在する回折斑点を用いるか、1次元の強度分布はどれくらいの範囲を用いて作成するか、を検討する。測定に用いる中性子の波長領域、格子定数、分解能の異なる結晶から測定された回折データに適用出来る方法を考えていく。 また、どのような回折データだと適用することが出来ないかも明らかにしていく。

次年度使用額が生じた理由

次年度以降に所属先が変わることになり、本研究を継続して行うことができるか不明だったため、予定していた予算を使用しなかった。次年度以降も継続して研究を行えることになったので、学会発表の参加費や旅費、データ処理ソフトへの実装費用に用いる予定である。

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公開日: 2023-12-25  

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