• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実施状況報告書

光活性化cAMP産生酵素の高時間分解能活性計測を基盤とした光遺伝学ツールの創製

研究課題

研究課題/領域番号 22K06173
研究機関岡山大学

研究代表者

平野 美奈子  岡山大学, ヘルスシステム統合科学学域, 准教授 (80585167)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード光遺伝学 / イオンチャネル
研究実績の概要

本研究では、cAMP依存的に開閉するイオンチャネル(CNGチャネル)を利用して、光活性化アデニル酸シクラーゼ(PAC)の特性の調整機構を解明し、細胞機能の光操作に適した新規PAC改変体群を創製することを目的としている。本年度は、PACが産生するcAMP量を捉えるのに適したCNGチャネルの選定を行った。詳細を下記に記す。
CNGチャネルの一種であるHCN2チャネルとSthKチャネルのcAMP感受性を比較した。これらのCNGチャネルをアフリカツメガエルの卵母細胞にそれぞれ発現させ、細胞内cAMP濃度の変化に伴うチャネル電流の変化を計測した。HCN2チャネルを発現させた卵母細胞では、フォルスコリンの添加または共発現させたPACへの光刺激によってcAMP産生を促さなくてもチャネル電流が捉えられ、これらの刺激によりcAMP量を高めてもチャネル電流に変化はなかった。一方、SthKチャネルでは、フォルスコリンの添加前後でチャネル電流に変化が見られた。ELISA法によるcAMP濃度の測定により、卵母細胞内には元々約1 μMのcAMPが存在していたことから、HCNチャネルは1 μM程度のcAMPで完全に活性化されると考えられる。一方、SthKチャネルが活性化された条件での細胞内cAMP濃度は200 μM以上であったことから、SthKチャネルは数100 μM以上のcAMPが活性化に必要なことがわかった。これらのことから、PACの特性を調べる際、活性が低い、つまり産生されるcAMP量が少ない場合にはHCN2チャネルを、活性が高い場合にはSthKチャネルを用いれば、特性を捉えられることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度、PACの特性を捉えるためのCNGチャネルのcAMP濃度依存性を明らかにすることができたため、今後この情報を基にPAC毎に適した種類のCNGチャネルを使うという道筋が立った。

今後の研究の推進方策

今回特性を調べたHCN2チャネルとSthKチャネルを昆虫細胞または大腸菌で発現・精製し、電気生理学的手法の一つである人工膜法でcAMP濃度依存的な変化が見られることを確認する。また、これら2つのCNGチャネルでカバーできないcAMP濃度を捉えるためのCNGチャネルを探し出す。その後、PACが光依存的に産生するcAMP量の変化を、人工膜に組み込んだこれらのCNGチャネルのチャネル電流の変化で捉え、PACの種類の違いによる特性の違いを明らかにする。得られた情報から特性に影響を与える部位を改変し、光応答能などを高めた変異体を作製してPACのオプトジェネティクスツールとしてのバリエーションを広げる。

次年度使用額が生じた理由

本研究を推進中に研究の鍵となるCNGチャネルの種類をさらに増やす必要がでてきたため、計画を見直す必要があったため。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] 光活性化アデニル酸シクラーゼの活性制御機構の理解に向けた研究・開発2022

    • 著者名/発表者名
      平野美奈子、建部益美、北村有希、三好佑奈、井出徹
    • 学会等名
      第45回 日本分子生物学会
    • 招待講演
  • [学会発表] 光活性化アデニル酸シクラーゼの活性化に伴う構造変化の解明2022

    • 著者名/発表者名
      北村有希、井出徹、平野美奈子
    • 学会等名
      第60回 日本生物物理学会
  • [学会発表] アガロースゲルビーズを用いた人工膜チャネル電流測定2022

    • 著者名/発表者名
      朝倉真実、椋野敦弥、平野美奈子、井出徹
    • 学会等名
      第60回 日本生物物理学会

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi