研究課題/領域番号 |
22K06211
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
新敷 信人 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (80569658)
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研究分担者 |
中村 史雄 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (10262023)
實木 葵 (高橋葵) 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (80760074) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | Sema3A受容体の絞り込み / PS表在化に至るおおよそのシグナル経路解明 |
研究実績の概要 |
大脳皮質初代神経細胞において、神経ガイダンス因子Sema3Aがカスパーゼの活性化や細胞外Ca2+の流入によって、細胞膜の脂質二重層内層に維持されていたホスファチジルセリン(PS)が外層に露出することをこれまでに見出していた。 令和4年度はシグナル経路解析を中心に行った。培養細胞の強制発現系にSema3Aを作用させた解析により、NRP1/PlexinA3受容体複合体を介したカスパーゼの活性化が最も強くPSを表在化させることが明らかになった。他の複合体NRP1/PlexinA1、次いでNRP1/PlexinA4においては、細胞外カルシウムを流入させるもののPS表在化作用は弱く、NRP1/PlexinA2に関してはPS表在化作用は認められなかった。免疫染色法により、大脳皮質初代神経細胞におけるPlexinはA3、A4が強く発現していた。以上のことから、PS表在化に至るシグナル経路として、主にNRP1/PlexinA3受容体複合体を介したカスパーゼの活性化によるもの、次いでNRP1/PlexinA4複合体を介した、細胞外カルシウム流入によるものと絞り込むことができた。 Sema3Aは神経発達に寄与する因子であり、カスパーゼは活性化するものの細胞死には至らないことが予想され、PS表在化は一時的なものであると推測される。PS表在化が一時的であること、実際にそれがどのように成し遂げられているのか、絞り込んだ情報を踏まえて分子メカニズムも含めて明らかにしていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
PS表在化、カスパーゼ活性化のライブ観察条件の設定にかなりの時間を要したため
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今後の研究の推進方策 |
今後は、Sema3AによるPS表在化が一時的なものか、あるいは恒久的なものかを明らかにするため、初代神経細胞を用いたライブ観察による解析を行っていく予定である。また、絞り込んだ経路NRP1/PlexinA3 → カスパーゼ活性化 → PS表在化について、その間をつなぐシグナル経路についても阻害剤や、スクランブラーゼ候補分子の発現抑制等により解析していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定してたライブ観察解析において、条件設定などに時間を要し本格的な実験に至ることができなかったことが大きな要因である。使用する細胞は、動物から採取する必要があって額が大きくなることもあり、次年度繰り越しとなった。
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