研究実績の概要 |
エンドソームは多様に遷移するオルガネラであり、その詳細分類や遷移過程については多くの報告があるが、未だ統一の見解がない。細胞内に取り込まれた積み荷の、エンドソームを介した多経路への仕分け機構についても、特に哺乳類細胞においては未解決である。その理由は、典型的なオルガネラ研究手法に限界があり、エンドソームの多様なコンパートメントを抽出したり、全貌を定量的に解析したりすることが困難であるからと考えられる。混沌としたエンドソーム分類および多経路の全貌を明らかにする突破口を築くためには、新たなオルガネラ研究手法を導入が求められる。そこで、開発中のオルガネラ粒子マルチパラメーター解析法を応用し、多種のエンドソームマーカーを一度に用いてエンドソーム関連オルガネラ群を定量的に解析することを、本研究の目的としている。今年度は以下に述べるように、主に材料作製や測定条件検討などを行った。 1.複数エンドソームマーカーの同時発現細胞を作製した。蛍光タンパク質やHalo-tag, SNAP-tag を融合したエンドソームマーカー RAB5, RAB11, RAB7, CD63の同時安定発現細胞を作製した。 2.粒子検出に適したエンドソーム蛍光プローブの検討を行った。リソソームマーカーLAMP1に対する抗体を蛍光ラベルしたものや、エンドサイトーシスの積荷である上皮成長因子、トランスフェリンの蛍光標識試薬(市販)を試験し、エンドソーム関連オルガネラ粒子として検出可能な蛍光プローブを選定した。 3.マルチカラー蛍光測定の条件検討を行った。共焦点顕微鏡を用いた蛍光スペクトルイメージングを行い、蛍光色素の種類や励起・検出条件の組み合わせを検討し、蛍光オルガネラ粒子をマルチカラーで同時測定の条件を見出した。
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