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2022 年度 実施状況報告書

運動性の細胞集団が秩序を獲得するまでの分子メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K06225
研究機関九州大学

研究代表者

松沢 健司  九州大学, 理学研究院, 講師 (30778668)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード上皮細胞 / アポトーシス
研究実績の概要

上皮細胞は互いに強固に接着してシート構造を形成している。この性質は、生体の内外を隔てるバリアとして機能し、体内の恒常性維持に重要な働きを果たす。炎症や老化、核内のDNA損傷などの様々なストレスは、アポトーシスと呼ばれるプログラムされた細胞死を誘導する。アポトーシスを起こした細胞は接着構造の破綻などにより細胞シートから脱落する。すなわち、上皮細胞シートの完全性を保ち、バリア機能が損なわれるのを防ぐには、細胞シートから死細胞を速やかに排除しなくてはならない。これまでの研究から、死細胞を取り囲む細胞たちが同調して収縮性のアクチン・ミオシン構造を形成し死細胞を押し出し、積極的に排除を実行していることが明らかとなっている。しかし、この実行装置が死細胞に接している接着面で局所的に形成されるメカニズムは不明である。このような死細胞の排除機構は、腸炎などの炎症性免疫疾患との関連が示唆されており、早急なメカニズムの解明が必要である。本年度は、この現象におけるカルシウムシグナルの解析を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

上皮細胞シートから死細胞を排除するメカニズムについて、周辺細胞の行動を同調させるメカニズムは不明であった。私は、細胞内カルシウムイオンのライブイメージングを行い、周辺細胞では、死細胞の排除における実行装置であるアクチン・ミオシン構造を形成している間、細胞内カルシウムイオンが持続的に上昇していることを見出した。また、阻害剤スクリーニングによって、小胞体ストアのカルシウムイオンの低下が引き金となって誘導される「store-operated calcium entry」(SOCE)が細胞内カルシウムイオンの上昇を制御しており、アクチン・ミオシン構造の維持に必須であることを明らかにした。

今後の研究の推進方策

小胞体カルシウムイオンの低下はSTIM1によって感知される。STIM1は形質膜型カルシウムチャネルのOrai1を活性化し、カルシウムイオンの流入を誘導する。今後は死細胞の排除におけるSOCEの活性化がどのようにして誘導されるかを明らかにしていきたい。具体的にはSTIM1やOrai1との関連が示唆されている細胞接着分子の機能阻害を行っていく。また、死細胞と周辺細胞の間の情報伝達機構についても解析を進めていく。

次年度使用額が生じた理由

前年度は細胞培養などに関わる経費を抑えることができた。また、本研究の進展には特定の細胞の活動を制御することが必要である。よって、それを可能にするオプトジェネティクス装置の購入に充てたいと考える

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Homerによるカルシウムシグナルの動員は上皮細胞シートの恒常性に寄与する2022

    • 著者名/発表者名
      松沢健司
    • 学会等名
      日本細胞生物学会

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公開日: 2024-12-25  

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