今後の研究の推進方策 |
成虫腸管上皮特異的にsSJ分子の発現抑制を引き起こすTsp2A-RNAi系統(myo1A-GAL4ts; UAS-Tsp2A-RNAi)を作製し、この系統で幹細胞増殖が亢進することを確認する。安定に幹細胞増殖の亢進が起こることが確認できれば、aPKC, Yorkie JNKのRNAi系統が増殖に対して影響を与えるか解析するとともに、候補RNAi系統(例えば、sSJ分子欠失を誘導した腸管において発現が大きく上昇するDlg, Lgl, Par6, Coracle, FasIIIなどのRNAi系統)が増殖に影響を与えるか解析する。 aPKCによる幹細胞増殖亢進への関与が示唆されるRhoGEFについて、別のRhoGEF-RNAi系統が同様の効果を示すか確認すると共に、どのRhoファミリーGタンパク質が関与するか解析する。さらに、aPKCとの遺伝学的相互作用、生化学的手法による分子間相互作用を解析し、aPKC-RhoGEF系の存在の確認を進める。また、sSJ分子の発現抑制による幹細胞増殖へのRhoGEF-RNAiの効果を解析し、sSJとaPKC-RhoGEFとの関連を調べる。 腎管幹細胞の領域特異的制御機構の解析に向けて、腎管領域特異的GAL4系統の温度感受性系統を作製し(近位尿細管 (myo1A-GAL4ts)、下部尿細管(31E09-GAL4ts)、上部尿細管/下部尿管 (c507-GAL4ts) 、下部尿管(c42-GAL4ts))、これらとUAS-mesh-RNAi系統との掛け合わせにより、腎管における幹細胞増殖亢進が観察された。これらの系統を利用し、sSJ分子の発現抑制による幹細胞増殖亢進へのaPKC, Yorkie, JNK, Upd, EGFリガンドなど腸管幹細胞増殖の関連因子の関与を解析する。さらに、これらの関連因子の領域特異的な影響にも注目し、解析を進める。
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