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2022 年度 実施状況報告書

ヒト多能性幹細胞の未分化性制御機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 22K06237
研究機関京都大学

研究代表者

樽本 雄介  京都大学, 医生物学研究所, 助教 (70551381)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードヒト多能性幹細胞 / 遺伝子発現制御 / 未分化性
研究実績の概要

これまでにヒト多能性幹細胞の未分化性の維持に重要な転写調節因子Xを新たに同定し、未分化維持に重要な既知の転写因子であるPRDM14の機能的パートナーとしての役割をもつことを見出している。本研究ではより詳細な解析をおこなうため、まずヒトiPS細胞において、因子XあるいはPRDM14の改良型AID(Auxin-inducible degron)システムによる誘導分解系を組み込んだ細胞株をそれぞれ樹立した。誘導分解して6時間後の両者のクロマチン結合をChIP-qPCRで調べたところ、PRDM14分解時には因子Xのクロマチン結合がほぼ失われるのに対して、因子X分解時にはPRDM14の結合量は半分程度になっていた。これらの結果は、因子Xの結合がPRDM14に完全に依存していること、因子XがPRDM14の結合の安定化に重要であることを示唆しており、これまで因子XあるいはPRDM14のノックアウト細胞でみられた表現型の違い(発現が変化する遺伝子数や未分化マーカーの発現低下の時間)を説明すると考えられる。
マウスES細胞では、因子XではなくそのホモログYがPRDM14の機能的パートナーであると報告されており、ヒトiPS細胞とは異なる。因子XとホモログYの機能の違いを検討するため、ホモログYを過剰発現したヒトiPS細胞で因子Xを誘導分解した。その結果、因子Xの欠損で引き起こされる遺伝子発現の変化が抑制され、未分化性の喪失も起こらなくなったことから、この実験系ではホモログYが因子Xの機能を代替可能であり、両者の機能的差異は検出されなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

プライム型ヒト多能性幹細胞をナイーブ型へと変換する方法を改善するために検討を重ねており、ナイーブ型細胞を用いた研究がやや遅れている。プライム型細胞を用いた研究は順調に進んでいる。

今後の研究の推進方策

ナイーブ型ヒト多能性幹細胞への変換を安定的におこなえるようにし、遺伝学的、生化学的、エピジェネティックな解析手法を組み合わせてプライム型とナイーブ型ヒト多能性幹細胞それぞれでのPRDM14、因子X、ホモログYの機能を遺伝子発現制御の観点から検討していく。

次年度使用額が生じた理由

一部の実験の条件検討に時間を要し、その後の計画に遅れが生じたため。条件は定まりつつあるので、それが決定でき次第、前年度計画分の実験(繰越した予算使用分)を含めて研究を進めていく予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] CRISPRを用いた多能性幹細胞における遺伝子発現ネットワークの解析2022

    • 著者名/発表者名
      樽本 雄介、杉野 成一、遊佐 宏介
    • 学会等名
      日本ゲノム編集学会第7回大会

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公開日: 2023-12-25  

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