研究課題/領域番号 |
22K06259
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
西山 佳孝 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (30281588)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 光合成 / 環境 / 光 / 損傷 / 修復 |
研究実績の概要 |
光化学系II(PSII)は光による損傷を受けやすいが、修復機構によって速やかに修復される。研究代表者らは、これまでに光損傷機構に関して新たなモデル「Two-step説」を提唱し、修復を制御する新たな機構を見出してきた。本研究では、Two-step機構の詳細を解明し、修復機構の中で全く未解明な酸素発生系の再生機構の解明を目指した。まず、Two-step機構を解析するため、シアノバクテリアSynechocystis sp. PCC 6803から単離したチラコイド膜に強力な紫外線(UV-A; 365 nm)を照射し、酸素発生および人工電子受容体DCIPの還元速度を指標にPSII活性を測定した。チラコイド膜にUV-Aを50秒照射すると、PSII活性は元の約10%にまで低下した。その際、PSII全体(H2O→DCIP)と反応中心(人工電子供与体DPC→DCIP)の反応を比較すると、前者の方がより速く低下したため、酸素発生系が反応中心よりも先に損傷を受けていることが確認できた。次に、チラコイド膜にDPCの存在下でUV-Aを照射すると、H2O→DCIP反応 は著しく低下したが、DPC→DCIP反応 はほとんど低下しなかった。したがって、PSIIの反応中心は無傷な状態で酸素発生系のみが損傷した「損傷中間体」を捕捉することができた。この損傷中間体からDPCを除去して、可視光を照射すると、反応中心の活性は速やかに低下した。その際、青色光と赤色光が反応中心の損傷に効果的であった。また、嫌気状態で損傷中間体に光照射しても、ほとんど反応中心は失活しなかった。以上の結果から、酸素発生系がUV-Aによって損傷を受け(第一段階)、その後反応中心が可視光によって損傷を受ける(第二段階)ことや、損傷の第二段階では、反応中心は活性酸素ではなく、P680の酸化状態によって損傷を受けることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
強力なUV-Aや人工電子供与体を用いることにより、光化学系IIの損傷機構の詳細を明らかにすることができ、概ね当初の目標は到達できたと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、UV-A照射によって損傷したチラコイド膜に細胞成分を添加して、酸素発生活性の回復を解析し、酸素発生系の再生に必要な因子の探索を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
論文作成に計上していた経費(英文校閲費・論文掲載費)を次年度に繰り越して、次年度に研究成果を論文として発表するため。
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