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2022 年度 実施状況報告書

環境応答における細胞壁の新規機能:XYLANASE1発現制御を介した乾燥耐性調節

研究課題

研究課題/領域番号 22K06270
研究機関京都先端科学大学

研究代表者

遠藤 暁詩  京都先端科学大学, バイオ環境学部, 講師 (00342759)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード細胞壁 / 細胞間相互作用 / 乾燥応答 / 木部輸送
研究実績の概要

令和4年度では、XYN1遺伝子発現に依存した乾燥耐性誘導機構の存在を示唆した予備実験の、詳細な裏付けをとることに成功し、さらに、CLE26ペプチドを介した新規の乾燥応答系を発見した。
XYN1のコサプレッション系統を用い、xyn1変異体と同様の乾燥耐性表現型を確かめようとしたが、狙った発現レベルの系統を得ることができなかった。かわりに、XYN1野生型DNA断片を導入し、xyn1の乾燥耐性表現型が相補されることを確認できた。
予備実験にて観察されたXYN1プロモーターレポーターによるXYN1転写活性パターンを、後代の複数のホモ化系統で確認できた。また、Takahashiらの方法(2018)を参考に、無菌培養した野生型個体で、乾燥処理に応じたXYN1転写産物の低下を検出した。
研究調書では乾燥処理によるXYN1の発現抑制の過程を細かく調べると述べたが、XYN1の発現抑制からの回復を調べることが重要だと考え、短期間乾燥処理してから給水後のXYN1発現を、XYN1プロモーターレポーターおよび転写産物レベルの解析を行った。その結果、XYN1発現レベルは給水後4日目でも低下した状態であった。また、給水後にはXYN1のアンチセンスRNAが多量に蓄積することが示唆された。
予備実験において観察された、CLE25ではなくCLE26ペプチドによるxyn1変異体での乾燥応答誘導活性の再現を確かめた。そして、植物体を短期間の乾燥前処理しておいてから長期の乾燥に晒すことで、cle26変異体の乾燥耐性低下が観察されることがわかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

調書作成の段階ではまだ予備実験レベルであった、XYN1発現レベルに依存した乾燥耐性と、乾燥に応じたXYN1発現抑制を詳細に観察することで、本研究の基盤を確認することができた。
一方、XYN1発現抑制の過程を観察する計画を変更し、抑制後の過程を観察した。その結果、XYN1が抑制された状態が、新たな細胞壁が形成されるのに十分な時間(乾燥処理2日に加え給水後4日)継続することがわかった。
さらには、当初予想したCLE25とXYN1の関係についての解析には進展がなかったが、これまで乾燥耐性誘導活性が考えられていなかったCLE26が、XYN1発現に依存した乾燥耐性の誘導に関与する可能性を見出した。
以上のように令和4年度では、再現性の確認にとどまらず、XYN1発現に依存した細胞壁の改変が、細胞間相互作用シグナル分子の働きに影響することを示唆する、重要な知見を得ることができた。

今後の研究の推進方策

令和4年度における本研究の進展をうけ、令和5年度は特にXYN1とCLE26の関わりに焦点をあてた解析を進める。
初めにcle26変異体の乾燥耐性低下がCLE26野生型DNA断片で相補できるのか確認し、次に、xyn1変異による乾燥耐性がcle26変異によって抑圧されるのかを調べる。加えて、XYN1がCLE25とも関わる可能性を考慮し、調書でも述べた、cle25 cle26二重変異体、xyn1 cle25 cle26三重変異体の作出も進めておく。これによって、乾燥応答におけるXYN1とCLEシグナリングの遺伝学的な関係を確認する。
XYN1という細胞壁修飾酵素遺伝子を介することで、細胞外を拡散するCLEペプチドシグナリングを輸送レベルで制御するのかもしれない、という本研究の仮説の検証に着手する。その手がかりを得るため、蛍光標識したCLEペプチドを用い、xyn1変異体、そして乾燥前処理を施した野生型個体におけるCLE26またはCLE25輸送パターンの変化を詳細に観察する。

次年度使用額が生じた理由

令和4年度も、オンサイトよりもオンラインで参加する機会が予想以上に多かったため、旅費分として確保しておいた分が残った。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 細胞壁関連遺伝子を介した乾燥耐性の制御2023

    • 著者名/発表者名
      遠藤暁詩
    • 学会等名
      日本植物生理学会

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公開日: 2023-12-25  

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